特集 環境(8)/わが社の環境戦略・商品/ボーケン/ケケン/カケン/エシカルFC

2023年12月05日 (火曜日)

〈ESG情報開示など支援/人材教育含めた支援特徴/ボーケン〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は通常の試験機関から“サステイナブルに貢献する品質パートナー”への進化を進めている。その一翼を担う品質支援事業本部は、ESG(環境、社会、企業統括)に関する情報開示、サステレビューの提供、環境負荷情報算定のサポートに取り組む。

 ESGに対する情報開示の要求が強まり、有価証券報告書などへの記載が求められるようになった。ボーケンは依頼企業に対して開示のための重要課題の探索、国際的な開示の枠組みであるGRIスタンダードに基づく開示方法などに関する研修・セミナーを提供する。

 GRIスタンダードなど開示ルールは内容が膨大なため、ESGに関する必要最小限の重要事項をまとめたチェックリストをサステレビューとして提供する。自己チェックで問題点を抽出した上で、対策作成をボーケンが支援する。

 注目が高まっているのがGHG、LCA算定の支援。GHG算定はまず自社の排出量算定をサポートし、LCA算定も国際標準規格(ISO)に基づく算定方法の導入を支援する。いずれの活動も単純なコンサルティングではなく人材育成に資するものとなっており、依頼企業の自律的な取り組みを支援するのが特徴。

 6~8日に東京ビッグサイトで開かれる国際環境展「エコプロ2023」にも出展し、品質支援事業本部の取り組みを中心に紹介する。

〈人権DDでサービス提供/独自のチェック項目設定/ケケン〉

 ケケン試験認証センター(ケケン)は、人権デューデリジェンス(DD)アセスメントのサービスの提供を始めている。海外ではサステイナビリティーの要件として環境だけでなく、人権が重視されており、日本でも今後需要が高まるとみて対応する。審査は1ユニット(工場)単位で応じる。

 人権DDアセスメントでは、約40のチェック項目を用意する。ケケンが認証機関であるテキスタイルエクスチェンジ(TE)の「GRS」(グローバル・リサイクルド・スタンダード)認証と日本繊維産業連盟の「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」を照らし合わせて独自に設定した。

 1ユニット単位で審査を行い、約2時間で終了する。本格展開を前にプレサービスとして提案したところ、タオル関連企業から手が挙がった。オーガニックコットンの国際認証「GOTS」の認証を取得するほど意識の高い企業だったこともあり、「全ての項目を満たした」という。

 チェック項目は顧客の要望などに応じてカスタマイズやアレンジが可能。ソーシャル・アカウンタビリティー・インターナショナルによる就労環境評価「SA8000」のような国際規格ではないが、「自社の現状を知るためのサービスとして活用してほしい」と話す。将来はSA8000の認証機関化も検討する。

〈展示会通じ機能訴求/「エコプロ」に単独ブースも/カケン〉

 カケンテストセンター(カケン)は、展示会への出展を通じて環境ビジネスに資するさまざまな試験・検査、サービスを提供していることを訴求する。今月6~8日に東京ビッグサイトで開催される環境展示会「エコプロ2023」では、日本化学繊維協会との合同出展に加え、単独でもブースを設ける。

 化繊協会との合同ブースでは、環境負荷低減に向けた取り組みを三つの視点から展示する。一つが繊維の鑑別試験で、実際に顕微鏡を設置して来場者にキュプラ繊維とトリアセテート繊維の鑑別を体験してもらう。2点目が防汚性(汚れの落ちやすさ)で、3点目がファイバーフラグメント(FF、繊維くず)。

 FFは、海洋を汚染するプラスチックの一つとされ、洗濯で衣料品からも発生すると言われている。カケンはファイバーフラグメント測定試験に対応しており、問い合わせや試験依頼も増えている。国際NPOであるマイクロファイバーコンソーシアムの試験ラボの認定も取得している。

 単独のブースではサステナブル推進室が主体となって提案し、ライフサイクルアセスメント(LCA)算定サービス、組織単位温室効果ガス(GHG)排出量算定サービスを紹介する。サービスの提供は4月に開始し、LCAの算定は繊維企業だけでなく、他業界からの依頼も入っている。

〈エシカルFC/ループラス+倉敷染デニムを認定〉

 エシカルファッション協議会(FC)はこのほど、クラボウとデニム整理加工のコトセン(岡山県倉敷市)が手掛ける「ループラス+倉敷染デニム」の取り組みを認定プロジェクトとして承認した。認定式では、クラボウ、コトセン、デニム製造の篠原テキスタイル(広島県福山市)が参加し、認定証が手渡された。

 同プロジェクトは、倉敷染めの認定を受けるコトセンがデニムに整理加工を施す際に品質を確認する試験布をリサイクルするという取り組み。年間約5トン発生する試験布を、クラボウの「ループラス」の原料として再利用する。

 有害化学物質排出ゼログループ(ZDHC)が作成した一覧表に準じた品質基準に沿って染色や製品加工されたことを保証する倉敷染と、独自の開繊・反毛技術で再資源化するループラスが手を組むことで、さらにエシカルなプロジェクトとなる。

 既に、篠原テキスタイルで、同プロジェクトの糸を緯糸に使い、ループラスの色味を生かした生成りの生地を生産している。コトセンの渡邉将史社長は「将来的には産地全体に広がるプロジェクトにしたい」と意気込みを語った。

 10月31日から開催された生地商談会「プレミアム・テキスタイル・ジャパン2024秋冬」でも同プロジェクトを発信。「次の売れ筋となるテキスタイル」の展示をする「ワッツネクスト」にも選ばれた。