繊維ニュース

ユニフォーム/ワークウエアに異業種続々/街着想定しおしゃれに

2023年12月05日 (火曜日)

 ファッション性を取り入れたワークウエアブランドの立ち上げが盛んだ。特に異業種からの参入が多い。“おしゃれ感度”はそれぞれ異なるもののタウンユースとしての着用を想定している点が共通項。一般市場を含めて訴求することで裾野を広げている。他方、建設業などでは人材不足解消のためのツールとして位置付けるケースも見られる。(甘利昌史)

 ウェブコンテンツ制作のゲットベター(東京都豊島区)は今秋、運営するクレーンオペレーター専門求人サイトと建設業のブランディング支援の知見を生かし、ワークウエアの独自ブランド「ツナギ」を立ち上げた。

 初弾商品のツナギは「汚い、格好悪い、やんちゃっぽい、怖い」といったネガティブな印象を払拭し、街着や趣味などの日常シーンでも違和感のないデザインを目指した。深刻な人材不足に悩む建設、製造業をメインターゲットに据えて業界のイメージアップに役立ちたいとする一方、バイカーやキャンパー、理美容師、実習服としての需要も期待する。現在の販路は主に自社電子商取引(EC)。

 建設業のジェネルプロスペクツ(同目黒区)が立ち上げた「アヴェルラ」は建設業界のラグジュアリーブランドを掲げる。大工出身の創業者が現場での経験、装いへのこだわりから、「なぜ高くていいものがないのだろう」との思いをウエアや腰袋、財布、ベルト、バッグなどで具現化させた。

 ワークシャツは、ボタンとファスナーの2ウエーでファスナーはダブルジップ仕様。ワークパンツはほこりが付きづらくストレッチ性を利かせたシンプルなシルエットとした。いずれも国産で、仕事着のままカフェに行けるようなスタイリッシュなデザインに仕上げている。2年目に入り売り上げは順調に推移。今後はインフルエンサーなどとの協業で認知度を高めていく。

 建設業のマスターピース(宮崎市)は、2017年の会社設立の翌年に、繊維選びから“かっこいい”デザイン性にまでこだわったと言う職人向け独自ブランド「ガッテン」を立ち上げた。襟の有無を選べるロング丈のトップスは、腰元がはみ出しにくい構造とし、反射材を付けて安全性を高め、ダブルポケット仕様で収納力を確保した。細身のスタイリッシュワークパンツは、使いやすい多機能ポケット付き。今後はカラーバリエーションを増やすとともに、防寒対策のアウターなども展開していく予定。

 一方、作業用品製造卸を主力としながらも独自ブランドのワークウエアの強化を図る企業も出てきた。ケイワーク(東京都八王子市)は23秋冬にファッショントレンドを取り入れた新ブランド「リビジョン」と、定番ワークウエアブランド「モノスタイル」を投入。24春夏に向けてアイテム拡充を図っていく方針。

 リビジョンは、販売店において差別化商品に対するニーズが高まっていることなどに応えるため、独自性を打ち出した商品群で新たな事業の柱としていきたい考え。これまで培ってきた製販ノウハウを活用できる点も大きなメリットとなっている。オーバーサイズとミリタリー調のトレンドを取り込むことで、「とがったデザインを追求して大手とは一線を画したニッチな市場の開拓につなげたい」とする。

 モノスタイルは、定番作業用品ブランド「モノテク」からウエア類だけを集めた派生ブランドで、安定した定番品需要の取り込みを狙う。