繊維ニュース

大手学生服スクールスポーツ/自社ブランド育てる/ニーズとらえた開発を

2023年11月29日 (水曜日)

 大手学生服メーカーでは、中学、高校向けが中心のスクールスポーツ事業において自社ブランドを育てる動きが着実に進んでいる。「ブランド名以上に機能性やデザインなど中身が求められるようになってきた」との声も聞かれる中、各社はニーズに合った商品の開発を進めながら市場を開拓している。(秋山 真一郎)

 菅公学生服が「リーボック」、トンボが「ヨネックス」「アンダーアーマー」、明石スクールユニフォームカンパニーは「デサント」というように、スクールスポーツでは各社がライセンスブランドの体育着を展開している。ライセンスブランドが採用校の獲得に貢献してきた一方で、体育着を扱ってきたノウハウを生かした自社ブランドの開発や販売に力を入れる動きも活発になってきた。

 スクールスポーツ市場でトップシェアの菅公学生服は自社の「カンコー」ブランドの販売を推進している。特に「カンコープレミアム」は販売が堅調に推移。大手素材メーカーと開発した生地「グランガード」の、「軽いけれど防風性が高い」(勝山裕太営業本部企画推進部スポーツ企画推進課長)といった機能性の高さで評価を得る。同ブランドでは中学校向けの商品も拡充しながら提案を強めている。

 アクアチタン商品で有名なファイテンとのダブルネームによる商品「カンコー×ファイテン」も販売が順調。両社によるコラボレーションが15周年を迎えることに加え、菅公学生服は創業170周年、ファイテンが設立40周年を迎えたことを記念したキャンペーンも実施するなど、さらなる認知度向上のための販促にも取り組む。

 トンボは、ピステスタイルとトレーニングウエアを組み合わせた独自開発のウオームアップウエア「ピストレ」の販売を伸ばす。軽量性やコンパクトに畳める収納性など、機能性への評価が高い。

 併せて、自社ブランド「ビクトリー」では、同社が得意とする昇華転写プリントによるウエアの採用も好調だ。プリントによるデザインで差別化できる点が好評で、拡販に向けて設備の増強も視野に入れる。

 このほど、体育着の新ブランドを発表したのは明石スクールユニフォームカンパニー。ブランド名は「フィールディー」で、同社がスクールスポーツウエアで新ブランドを立ち上げるのは5年ぶりとなる。立体的な裁断による動きやすさ、着心地にこだわるほか、体の部位に合わせて防風や消臭機能などを持つ生地を使い分けるなど機能性にもこだわった。

 先月に大阪市内で開いた展示会で同ブランドを披露した。「既に数校で採用が決定している」(榊原隆取締役営業企画部門管掌兼スクール営業部統括部長)など滑り出しは順調で、今後も採用校数の拡大を目指す。