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「ITMAアジア」の福原産業貿易/2色ジャカード編み機初披露/品質、アフターサービス武器に

2023年11月28日 (火曜日)

 【上海支局】19~23日に中国・上海で開かれた繊維機械の国際見本市「ITMAアジア+CITME2022」で、丸編み機大手の福原産業貿易は、特殊な2色ジャカード編み機「M―SECPJJ」と、40ゲージのダブルニット高速レースウェイ(無地編み)機「MC―SDR」を出展した。M―SECPJJは初披露となり、特に注目を集めた。国内外の需要低迷を受け、同社の中国内販も鈍化しているが、品質と手厚いアフターサービスを武器に巻き返しを図っていく。

 M―SECPJJは、シングルニットの電子柄編み機だ。糸2本を引きそろえ、プレーンジャージーを編成するが、2本の糸を針フック内で自在に位置変更することで、2色のジャカード編みになる。一般的な2色ジャカード編みとは異なり、生地の表も裏も風合いを滑らかにできる。同展では、スポーツウエア向けの提案に力を入れた。

 MC―SDRは編み地のバリエーションが豊富で、エイトロック編みも可能な40ゲージのハイゲージ機だ。編み針から一貫生産し、高品質を実現していることを訴求した。

 同社の内販は、一部大手向けが伸びている以外は総じて鈍い。欧米市場が芳しくないことを反映し、特に欧米ブランド向けを手掛ける顧客の設備投資意欲が低迷している。

 米中対立や、新型コロナウイルス禍を経て中国生産の不確実性が明らかになったことを背景に、丸編み地の一部生産もこの1、2年、中国からバングラデシュなどにシフトしている。一方、中国メーカーは納期対応や品質管理などの優位性を持つため、海外にシフトした生産の一部が今後、再び中国に戻る可能性もある。

 こうした中、同社はファインゲージ機を中心とした品質安定性や、中国4拠点(上海、山東省青島、広東省東莞、香港)を活用した手厚いアフターサービスを打ち出し、挽回を図っていく。