三陽商会「サンヨーコート」/来春「頂上商品」投入/戦後のヒット作復刻

2023年11月20日 (月曜日)

 三陽商会が展開するコート専業ブランド「サンヨーコート」は1947年に販売したオイルシルク・レインコートを復刻し、現代風に仕上げた新作コートを投入する。来春の発売を予定し、婦人用1型(24万2千円)、紳士用1型(26万4千円)を展開。同社では「頂上商品になる」(サンヨーコートの企画担当者)と説明している。

 47年当時のオイルシルク・レインコートは、戦時中のパラシュート生地から着想を得て、絹羽二重に植物油を塗って製作した生地を採用。銀座の老舗洋品店などに納品すると、瞬く間に売り切れたと言う。婦人用レインコートは女性の社会進出を後押しし、全国的に大ヒットした。当時の三陽商会が「レインコート製造販売」の専業に転換するきっかけにもなった商品だ。

 新作コートでは、山形県米沢産地から調達した細番手、高密度織機で製作したシルク100%シャンブレーツイル素材を使用。経糸に絹紡糸、緯糸に生糸を採用した光沢感のある生地になっている。婦人用でバルマカーンコート、紳士用ではタイロッケンコートを打ち出す。

 企画担当者は「シルク100%のコンセプトはそのままに、表地とデザインで現代的な解釈を加えた」と話す。今年3月には髙島屋日本橋店で「SANYO COATアーカイブ展」を実施し、祖業アイテムの歴史を紹介する展示を行った。多くの一般客が訪れ、そこで反響のあったオイルシルク・レインコートを復刻することになった。