「松山」縮小前倒し/帝人、衣料用ポリエスF
2002年04月22日 (月曜日)
遠東紡からもPOY輸入
帝人は衣料用ポリエステル長繊維事業で、帝人ファイバー(TFJ)松山事業所の設備縮小を計画より1年半前倒しで今年9月末に完了させ、タイ、インドネシア子会社に台湾メーカーを加えた国内への代替供給体制構築を年内に終える。
松山事業所では南北2工場で月間7000トン弱のポリエステル長繊維を生産していたが、北工場を閉鎖し南工場を差別化糸3600トンにする。コストが合わず国内生産をやめる銘柄は、定番糸をインドネシアのTIFICO、準差別化糸をタイのTPL・PJTからの調達に置き換えるとともに、定番加工糸は遠東紡を中心とする台湾メーカーから直接購入する。
計画ではインドネシア1500トン、タイ500トン、台湾1000トンの規模。新合繊ブームの先駆けとなった「ミルパ」はタイ生産に移る。台湾からの輸入は当初、DTY(延伸仮撚り加工糸)を考えていたが、ユーザーからの要望が強く、POY(部分延伸糸)を調達し、帝人がDTYにして販売するケースが当面は多くなりそうだ。
国内生産・販売を担うTFJは松山事業所の設備規模が適正化された条件を生かして、採算重視、実需対応を販売政策の基本に据える。例えば今回の粗原料高騰局面では輸入糸価格も当然上昇するが、それに1キロ15円のコストを上乗せした価格を貫き、合わない場合は販売を見送るという。
同時にEコマースサイト「ファイバー・フロンティア」を活用したBtoBにも力を入れ効率化を進める。短繊維を合わせ、前年度は総販売量の20%弱にとどまっているが、今上期中に50%以上、下期には70%以上を目指す。
また位置付けが弱まっていた糸輸出も再構築する。現状は織布子会社向けやスポット販売を除き月200トンに満たないだが、2倍をめどに東南アジア向けを増やす。TIFICOやTPLの既存ユーザーに対し、日本の差別化糸を供給することで、将来の銘柄移転に備えたプレマーケティングという狙いもある。