特集 北陸ヤーンフェア2023(5)/出展者の見どころ/増井/モリリン/ヤギ/豊島

2023年11月07日 (火曜日)

〈サステ糸をメインに/ウズベキスタン綿糸も/増井〉

 増井(大阪市中央区)はレーヨン長繊維や同紡績糸、ペットボトル再生繊維、ウズベキスタン綿糸など各種サステイナブル糸をメインに提案する。レーヨンはナイロン長繊維の混繊糸で接触冷感、UVカット性を持つ「アイスインパクト」やボルテックス紡績糸「リヴァエコ」を訴求する。

 ペットボトル再生繊維「エコリンク」は、その先染糸「ミコルトーン」(66色)を提案。エコリンク使いで吸水速乾加工を施した丸編み地(備蓄販売)も出品する。

 新開発の常温常圧カチオン可染の再生ポリエステル繊維「エコリンクファイン」も打ち出す。低温染色でエネルギー消費量、CO2排出削減につながる点を訴求する。フルダル十字断面糸でUVカット、遮断性、吸水速乾性、透け防止を持つ「ルークールUVα」の再生タイプ「ルークールUVネクスト」も新提案する。

 柔らかい風合いと高い白度を持つウズベキスタン綿糸「サマルカンダリア」では国際認証「GOTS」を取得したオーガニック綿糸「サマルカンダリア・オーガニック」を揃えた。昨年3月にウズベキスタンでの児童労働問題が解消され、引き合いは活発と言う。

 同社は昨年8月に首都のタシケントに駐在員事務所を設けた。今年9月には現地の子供たちが日本語と日本文化を無料で学べる「サマルカンダリア・ジャパンアカデミー」も開設し教育支援にも取り組む。

〈再生原料使いや脱炭素が軸/環境配慮型の機能性素材訴求/モリリン〉

 モリリンは再生原料使いや脱炭素を軸に、環境配慮の側面と機能性を兼ね備えた素材の提案を行う。テーマは「モリリン・エコアプローチ」とした。

 GRS認証を受けた再生ポリエステルとメリノウール混の「メリノアーマー」は初披露となる。梳毛紡績や短繊維紡績の2種類の糸や、ウールを芯に、再生ポリエステルやナイロンのカバーリング糸も打ち出す。ウールの風合いを残しながら、ピリングしやすいなどの欠点を補う。

 再生可能な木材が原料の「テンセル」モダールと再生ポリエステルをブレンドした「エクールサン」も新たに訴求する。ミネラル成分を練り込み、優れた紫外線遮蔽(しゃへい)性を持つ。耐洗濯性も高く、効果が続く。

 再生マイクロポリエステル原料使いの「エムプラス」も注目度が高い。綿タッチで糸の表面の毛羽立ちも少なくしてピリング発生を減少。透けにくく、高い紫外線遮蔽(しゃへい)機能を併せ持つ。

 リファインバースグループ(東京都中央区)が廃棄対象の漁網を回収・再生したナイロン繊維「リアミド」のフィラメント糸・スパン糸も扱う。

 再生ポリエステル原料使いの吸水速乾機能素材「クールマックス・エコメイド」や保温機能素材「サーモライト・エコメイド」は糸と生地で販売。129色と豊富な色数を持つ。原着インディゴ使いで染色工程が不要の「アクアライズ」もそろえる。

〈綿、合繊、複合糸など多彩に/製品までの一貫展開も/ヤギ〉

 ヤギは、綿糸と合繊糸の両方を出品し、新規顧客開拓を狙う。糸から製品までの一貫展開が可能な点も訴求する。

 綿糸ではオーガニック綿が軸。それまで別々のブランドで展開していた複数のオーガニック綿糸を「ユナ・イト オーガニック」という総称ブランドに変更しており、そこにインド産オーガニック綿のトレーサビリティーをより高いレベルで確保するプロジェクト「コットンiD」を絡ませて拡販を狙う。

 綿糸では他にも、再生綿の「ユナ・イト リサイクル」や東レの再生ポリエステルとヤギが持つさまざまな綿とを掛け合わせた「ユナ・イト プラス」も用意する。

 合繊糸は再生合繊糸の総称ブランド「ナチュリール」の認知度向上を狙う。22年のブランド立ち上げ以降、販売数量は着実に伸びているが、他社の再生ポリエステル糸が不足した際の代替購入が多いという。「ナチュリールを指名買いしてもらえるよう認知度を高めていく」として、価格訴求力、白度の高さ、備蓄機能などをアピールする。同ブランドではポリエステルだけでなく先染めなどナイロン糸も展開する。

 「長短両方を展開し、その複合も容易という強みをアピールしたい」とする。展示は生地と製品を中心とし、ヤギの製品部門やヤギグループとの連携による製品までの一貫展開も訴求する。

〈二つの新素材を初披露/残反活用の体験会も/豊島〉

 豊島は天然繊維から合繊までの幅広い商品を出展し、多彩な機能性や良質な風合いを訴求する。リネンやナイロンを使った新素材を初めて披露するほか、サステイナビリティーを推し進めるため、残反などを活用したワークショップも初めて開催する。

 新素材の「ウォッシュ&ウェア リネン」はリネン、レーヨン、ポリエステルを精紡交撚しており、洗濯後にアイロンなしで、そのまま着用できるのが特徴だ。見た目はリネンだがソフトな風合いを備える。製品、生地、糸で展示する。

 同じく新素材の「スーパーナイロン」はナイロン100%ながらもソフトな肌触りを実現した。20デニール(D)~200Dまでの豊富なバリーションをそろえており、ストレッチ性があるため着用時の快適性も高めている。ほかにも、ポリブチレンテレフタレートを使ったストレッチ糸「スーパーフレックス」も訴求する。

 ワークショップは残反や端切れ、同社が提供を受けた生地などを活用し、子供服作りを実施する。当日はパーツごとの生地裁断までを体験できる。後日、縫製して子供服に仕上げ、参加者に届ける。SDGs(持続可能な開発目標)やアップサイクルの実現に加え、繊維産地や素材の認知度向上を図るのが狙い。