帝人フロンティア/ポートフォリオ組み替え/ユニフォーム素材で新規開拓

2023年10月20日 (金曜日)

 帝人フロンティアの衣料素材本部テキスタイル第二部は、ユニフォーム素材販売でポートフォリオの組み替えに取り組む。低採算分野から今後の成長が見込める高付加価値用途へのシフトを進めることで、ユニフォーム素材事業全体の収益性向上に努める。

 今月から同部を担当することになった白石和男テキスタイル第二部長は、ユニフォーム素材販売の現状に対して「新型コロナウイルス禍の収束で経済活動も正常化し、売上高は回復傾向が続いている」と話す。ただ、原料・エネルギー価格の高騰によるコストアップも続いており、値上げによる転嫁も進めているものの「採算面での改善が不十分」と指摘する。

 加えて最近の急激な円安も逆風。同社は原料のポリエステル繊維をタイ子会社とインドネシアの協力工場で生産しているため、円安の影響で円換算での調達価格が大幅に上昇した。このためもう一段の値上げの必要性も高まっているが、継続販売品が多いユニフォーム素材は定番品を中心に値上げのハードルは高い。

 白石氏は「現在、最大の課題は国内の産地をどうやって維持していくか」と強調する。採算の悪化が続けば、撚糸、織布、染色加工など国内の委託加工先企業への適正な利益配分が難しくなることを懸念する。

 このためユニフォーム素材に関して「価格勝負ではない商品を拡大し、ポートフォリオの組み替えを進める」と話す。価格改定への理解が得られない低採算品は販売縮小も辞さない構えで、逆に今後伸びる可能性のある高付加価値品の提案を強化する。具体的にはスクールシャツ、メディカル白衣、防じん服、防炎・難燃服などの用途が視野に入っているようだ。

 こうした用途で活用可能な素材開発も進んだ。防透・紫外線カット機能ポリエステル長繊維織・編み物「ウェーブロンUP」やポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」・モダクリル・レーヨン混の難燃織物「セフレーム」などをラインアップする。これらの戦略商品を生かし、新規取引の開拓に取り組む。