ピエクレックス/圧電繊維の資源循環実証/「地着地消地循」で課題解決へ

2023年10月13日 (金曜日)

 帝人フロンティアと村田製作所の合弁会社、ピエクレックス(滋賀県野洲市)は、ポリ乳酸(PLA)による圧電繊維「ピエクレックス」の資源循環に乗り出す。同繊維を使った衣料品や生活雑貨などを回収し、堆肥化する。学校法人や地方自治体が参画しているのが特徴の一つで、繊維の社会課題を「地着地消地循」で解決する。

 ピエクレックスは、帝人フロンティアの合繊技術と村田製作所の圧電技術の融合で開発された圧電繊維で、人の動きによる繊維の収縮で発生した微弱な電気が抗菌効果を発揮する。植物由来のPLAを原料としており、製造から処分までの二酸化炭素排出量は石油由来のポリエステル繊維と比べて約20%少ない。

 同繊維の提供で環境負荷低減に貢献してきたが、回収・堆肥化して再利用することでもう一歩踏み込む。アパレル・繊維メーカーと協力し、ピエクレックスや綿、ウールなど、堆肥化が可能な素材で製品を作ることを推進する。連携・共創パートナーとしてエスエスケイやタオル製造卸の成願などが名を連ねる。

 ここに学校法人などが加わることで地着地消地循につながる。立命館守山中学校・高等学校の箭内健副校長は「学園祭などでクラスTシャツを作るが、1、2回しか着ない。1500人の生徒がおり、Tシャツ千枚のリサイクルで校内農園の堆肥が賄える計算」とする。体操服や部活ユニフォームにも広げられるとした。

 同校がある滋賀県守山市は今年の夏から連携しており、今月1日のトライアスロン大会のスタッフウエアとノベルティーのタオルにピエクレックスを採用し、回収につなげる。京都府長岡京市は10月に協定を結んだ。来月の「長岡京ガラシャ祭」でピエクレックスを使ったグッズを販売し、来年以降の祭で回収する。

 今回の取り組みは「P―FACTS」の名称で展開し、「堆肥となり植物になるまでを実現できる」製品には認証マークを付ける。アパレル企業による一般消費者への製品の販売や回収も行い、エスエスケイは2024年にP―FACTS対応製品の販売を始める。

 ピエクレックスの玉倉大次社長は「1年をかけて実証を推進し、24年10月から本格稼働に移る」とし、堆肥化の拠点についても「1年後には100カ所に増やしたい」と語った。