帝人フロンティアのタイ子会社/工業繊維先行き不透明/自動車関連も完全回復まだ
2023年10月11日 (水曜日)
世界的な半導体不足など混乱もやや落ち着きを取り戻したことでタイの自動車生産台数も回復基調にある。ただ、新型コロナウイルス禍前の水準には達しておらず、完全回復には至っていない。こうした中、帝人フロンティアのタイ子会社で工業繊維を担う各社も先行きへの不透明感を強めている。
タイヤコード織物製造のテイジンFRAタイヤコード〈タイランド〉の2023年度上半期商況はコロナ禍後の回復の反動もあって需要がやや減退した。特に内販に勢いがない。日本向けは前半こそ荷動きが鈍かったが、後半から回復基調。米国向けは堅調だった。
事業環境は不透明感が強い。原料に使用するアラミド繊維など高機能繊維は欧州生産品がエネルギー価格高騰の影響でコストアップが続いており、タイ国内では金利上昇による利払い負担が増加した。今後、原材料調達面でのリスク分散や製造・販売拡大のための生産プロセス見直しが必要となる。そのために取引先との連携を強め、ニーズに迅速に対応することを徹底する。環境負荷低減のための技術開発も継続的に取り組む。
下半期に向けて営業と製造の連携をさらに強め、日系取引先への販売シェア拡大に取り組む。海外メーカーとの競争に勝つために細かなサービスや技術フォローを通じて取引先との関係強化を進める。下半期の需要回復に不透明感があるため、受注に対する安定供給、品質安定化、ロス低減活動に力を入れる。
ベルト・ホース補強用コード製造販売のテイジンコード〈タイランド〉も23年度上半期は苦戦している。昨年8月ごろから自動車向けだけでなく農機具や一般産業用途全般で販売量が一服してきた。現在でも一部取引先以外は回復が見られない。
このため下半期は販売量回復に向けて新規用途開拓や新商品開発に力を入れる。コロナ禍が落ち着き海外渡航もしやすくなっていることから、各国の取引先への営業活動も再開する。