特集 AFF・東京(1)/過去最大規模で開催/20~22日、東京ビッグサイトで

2023年09月13日 (水曜日)

 繊維・ファッションOEM/ODM展示会「AFF(アジアファッションフェア)・東京」が20~22日の3日間、東京ビッグサイトで開かれる。AFFが主催し、日中経済貿易センターが協力する。

 AFFは2003年に76ブースの出展企業からスタートし、今年で38回目。今回は820社・980ブース、展示面積2万平方㍍と、従来の2倍近い規模になる。内訳は、アパレル(約580社)、素材・副資材(約130社)、服飾品(約60社)、ホームテキスタイル(約40社)など。

 これまでも中国・アジアのOEM/ODM、繊維製品の展示会としては最大規模だったが、出展希望企業が多く、今回から思い切った拡大策を取った。新型コロナウイルス禍ではオンラインのみの開催だったが、今春の大阪展からリアル展に移行した。

 新素材や機能素材を使った製品などの提案が見どころの一つ。春の大阪展同様、オーガニックコットンや各種リサイクル素材など新技術を駆使したサステイナブル素材の提案も数多く見られそうだ。

 出展者の内訳は、アパレル関連で、布帛製、ニット製、シルク製、毛皮製、ダウンウエアなど。素材関連で、綿、麻、化繊、混紡、ウール、特殊生地など。原料・副資材関連で、糸、ボタン、ファスナー、裏地など。服飾品関連で、帽子、靴下、マフラー、ストール、箱、かばん、靴、アクセサリー、手袋など。ホームテキスタイル関連で、日用品、タオル、寝装品、ホームウエア、テーブルクロス、カーペットなど。

 新規出展者だけでなく、日本との取引経験が長い企業も数多く、言葉の問題や取引慣行で苦労することが少ないのも同展の特徴。

〈大連昌田服装科技/レディースインナー工場〉

 2003年に設立されたレディースインナー工場。月産能力はブラジャー12万着、ショーツ6万着。QR(クイックレスポンス)と短納期が強みだ。輸出が主力で、取扱高の8割を日本向けが占める。

 日本の顧客は大手インナーブランドや通信販売など。直貿と商社経由の双方を手掛けている。近年の日本向けの業績は安定している。

 今回が初出展。製品の着け心地の良さや、ユーザー年齢別の豊富な商品ラインアップを訴求する。自社の認知度アップにも取り組む。

〈YCCグルーバル/サステなファスナー訴求〉

 1995年に設立されたファスナーメーカー。上海工場で金属と樹脂を使ったファスナーを生産する。日産能力は120万個。売り上げの9割が輸出で、欧米向けが大部分を占める。日本市場の開拓は、2022年に始めたばかりだ。売上比率は1%程度にとどまる。

 22年売上高は2億千万元で前年を割った。欧米市場に過度に依存するのを避けるため、日本などの非欧米市場の開拓を近年強化している。

 初出展の今回は、生分解性の素材などを使ったサステイナブルなファスナーを訴求する。

〈厦門建宇実業/ASEAN縫製のアイテム〉

 福建省厦門に本社を置く大手商社で、衣料品などさまざまな商品の貿易を展開している。同省泉州に合弁縫製工場を持つ。衣料品はアウトドア、スポーツ、カジュアル、ワークウエアなどを取り扱う。合弁工場は従業員数千人超で、年間生産量は1千万点超だ。

 今回展の目玉は、アウトドアウエアとカジュアルなワークジャケット。アウトドアウエアは豊富な機能性、着心地の良さを訴求。ワークジャケットは、機能性とファッション性を両立していることをアピールする。

〈青島和佳誠貿易/業務用ガウンや浴衣〉

 織物製衣類や寝具、編み物製品のメーカー。日本向けに特化する。2022年売上高は200万ドルだった。うち、半分がホテル向けのガウンや浴衣で、半分が寝装寝具やタオル、エプロン、マットレス。

 強みは浴衣の柄のデザインや、機能性のある素材選定ができること。使いやすさと、耐久性の高い製品が、日本の顧客から評価されている。

 初出展の今回は、リネンサプライ事業者への採用実績が豊富な浴衣をメインに打ち出す。工業洗濯に耐える素材使いやプリントを紹介する。

〈北京雲芸風尚科技/洗濯可能な発熱デバイス〉

 2012年に設立されたハイテク素材メーカー。創業以来、数多くの特許技術を生み出し、それらを衣料品や繊維製品に幅広く展開している。顧客の課題を解決するソリューションを提供することに力を入れている。

 中国内販がメインで、海外向けの売り上げ比率は2割程度。日本では、発熱関連商品の市場開拓を狙う。初出展の今回は、洗濯ができる「グラフェンフレキシブル発熱デバイス」を訴求する。炭素繊維を使った高熱伝導シートに比べて柔らかく、均一な加熱が可能だ。

〈石家庄三時美加進出口/バングラデシュ製アウター〉

 1999年に設立されたアパレル専門商社。取り扱いアイテムはジャケット、コート、登山服、ダウンウエア、スキーウエア、レインウエアなど。デザイン部を持ち、顧客にトレンドを反映したデザイン提案ができることが強みだ。

 近年は中国での生産を維持しながら、バングラデシュでの生産を増やしている。

 初出展の今回は、中国製とカンボジア製のアイテムを訴求する。中国製はダウンウエアなど、カンボジア製はボトムと編み物製衣類を出展する。

〈湖州緑科新材料/高性能繊維メーカー〉

 2003年に設立された高性能繊維メーカー。繊維から糸、織物、縫製まで展開する。機能性繊維やサステイナブル素材が強みで、輸出に特化している。バングラデシュやインド、ロシア向けが多い。

 工場は江蘇と浙江、山東、河北の各省にある。アイテム別生産能力は、繊維原料10トン/日、糸5トン/日、生地10万㍍/月、製品3万着/月。

 初出展の今回は、PLA繊維を使った糸と織物や温度調整機能を持つ糸、再生繊維を使った涼感機能糸と織物などをアピールする。

〈済寧思博特運動製品/衣類とグローブ生産〉

 2015年に設立された編み物製衣類とグローブのメーカー。日本を中心に、その他アジアや欧米向けを手掛ける。アイテム別月産能力は、編み物製衣類が30万着、グローブが20万個。

 東南アジアの工場が台頭する中、原材料や付属品の調達力やスピード、製品の品質の高さ、短納期などを追求し、差別化している。

 今回展では、衣類は吸汗速乾、接触冷感のTシャツとパーカ、ポロシャツを打ち出す。グローブは、サイクリンググローブや高級バイク用グローブなどを出展する。

〈大連恵栄綿業/吸湿発熱などの機能わた〉

 日系独資の中わたメーカー。レギュラーの中わたから、機能わたまで幅広く生産する。近年は吸湿発熱わた、防ダニ抗菌わた、生分解わたなどの機能わたに特に力を入れている。

 商社を通じ、日本のアパレル、リビング、インナーのブランドに販売している。機能わたの原料の多くは、日本メーカー製だ。

 今回は、繊維自体が水分の吸湿により発熱する吸湿発熱わたを出展。吸着熱性は、ウールの約3倍と優れている。消臭性や吸水性、難燃性など多くの機能を持つ。

〈蘇州市合進進出口/日本向けのセーター工場〉

 日本向けに特化するセーターのメーカー。山東省の出資工場(月産能力4万着)と、安徽省の協力工場で生産している。素材開発から展開し、短納期とQRを強みとする。

 顧客は、日本のカジュアルブランドや商社。2022年取扱高は850万ドル(うち直貿550万ドル、商社300万ドル)で、前年を上回った。東南アジアから生産回帰の恩恵を受けた。

 今回が初出展となる。コストパフォーマンスの高い春夏と秋冬のセーターを出展し、抗ピリングやドライタッチなどの機能性を訴求する。

〈紹興宜舟進出口/ポリ・レーヨン使い裏地〉

 2001年に設立された織物専門商社。グループ会社は、織物の内販に約20年取り組む。得意アイテムはポリエステル使い。中国国内に三つの倉庫を持ち、約40品番を計800万メートル備蓄している。欧州とアフリカ向けを主に手掛けている。

 今回展を機に、日本市場に参入する。日本を今後の重要開拓市場と位置付けている。

 初出展の今回は、ポリエステル・レーヨン使いなどの織物を訴求する。ウインドブレーカーに適した裏地などをアピールする。

〈常州匯金繊維紡品/ストレッチ織物と備蓄品〉

 2008年設立の織物メーカー。年産能力は1500万メートル。4方向に伸び縮みするストレッチ生地など機能性生地の生産に力を入れている。輸出に特化しており、輸出額全体の6割を欧米、4割を日本・韓国向けが占める。

 日本向けは安定成長を続けている。22年通年と今年上半期の業績は、前年同期を上回った。こうした中、日本市場の深耕を図るため、東京オフィスを来年開設する予定。

 今回展では、4方向に伸び縮みする生地と、リネン・レーヨン使いの織物の備蓄品を出展する。

〈鎮江拓宏商貿/機動性高いアパレル商社〉

 2020年に設立された日本向け専業のアパレル商社。16社の協力工場を使い、小ロットから大ロットまで対応。顧客のオーダーに最適な工場を選択している。

 この3年間、取扱高を拡大してきた。今年から新規顧客開拓のために、日本の展示会に積極的に出展している。

 AFF初出展の今回は、吸水速乾やUVカットなどの機能性を持つストレッチ素材使いのTシャツを出展する。製品洗い加工の裏毛トレーナーや、タイダイ染めのTシャツなどもアピールする。

〈無錫新友達服装科技/中国と東南アジアで生産〉

2008年に設立された織物製衣類メーカー。中国の独資工場と出資工場、東南アジアの協力工場で、メンズからレディース、キッズまでオールアイテムを生産する。

 幅広いロットとODMに対応していることが特徴。輸出と中国内販の双方を手掛けており、内販が8割を占める。

 今回展では、カジュアルパンツやオーバーオール、ジーンズ、スポーツ、レジャーウエアを出展する。スポーツ、レジャー向けや、ファストファッション向けの受注を狙っている。

〈大連トウ加貿易/小ロットが得意な商社〉

 2004年に設立されたアパレル専門商社。カジュアル、スポーツ、ユニフォームの各種ウエアを取り扱う。小ロット生産が得意で、セレクトショップ向けが多い。取扱高ベースの仕向け地別構成比は、日本90%、欧米10%。

 日本向けはブランドとの直貿と商社経由の双方で展開する。ミャンマーとバングラデシュに拠点を設け、中国に加え両国での生産拡大に注力する。

 今回展では、カジュアル、スポーツ、ユニフォームなどのアイテムをアピールする。製品とともに機能性素材も訴求する。