豊島/輸出強化や異業種開拓推進/DX、サステも継続
2023年09月13日 (水曜日)
豊島は今期(2024年6月期)、売上高2千億円、経常利益75億円を目標に掲げる。そのため、引き続きデジタル技術で企業を変革するDXやサステイナビリティーの推進のほか、輸出の強化や異業種開拓、生産体制の構築などに力を入れる。
ライフスタイル提案商社として、今期もさまざまな取り組みを進める方針。今年からスタートした再生合繊素材「テックリサイク」は少しずつだが販売も進んでいるため、今後も提案を強化する。自社での厳格な管理によるトレーサビリティーを生かす。
近年力を入れてきた輸出拡大や異業種への開拓も継続する。輸出は今年新設した海外販売推進室を活用することで、素材と製品の両面で攻勢を掛ける。異業種の開拓は、これまで手掛けてこなかった分野もあるため、リスクヘッジをしながら提案や販売を進める。
前期に続いて製品の生産体制の強化も進める。安定した生産の構築が狙いで、ASEANを中心にベトナムやインドネシア、バングラデシュでの生産を一層強化する。前期はASEANでの生産比率が2割を超えた。
コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を通じた出資も継続する。豊島半七社長は「素材関係はひと段落したので、今後はソフトやIT、人工知能(AI)などの関係先との協業を模索したい」と話した。
今期目標が前期よりも低いのは、綿花の先物取引の制限などで250億円以上の減収を予定しているため。豊島氏は「綿花部門の業績は相場で大きく変動する。会社全体の収益を狂わせないために綿花の取引を絞る」と説明した。
〈増収、経常最高益を更新/23年6月期〉
豊島の2023年6月期決算は売上高2248億円(前期比17・1%増)、営業利益71億8800万円(74・4%増)、経常利益90億4400万円(58・3%増)、純利益56億3900万円(4・6%増)だった。売上高は4期ぶりに2千億円台に到達し、経常利益は過去最高額を更新した。
繊維原料・原糸・織物を合わせた素材部門合計の売上高は834億円で、前期比23・6%増と大幅に伸ばした。繊維原料は綿花相場が平均で20%超下落する中、三国間貿易の拡大などで数量を増加。円安基調も重なり前期比36%増を確保した。
原糸は原料価格の高騰による単価上昇と取引量の増加で前期比8%増。織物は中東向け生機や国内外向けの加工反の数量増に加えてリネンサプライ向けの拡販が寄与し、前期比16%増となった。
製品部門は1384億円で前期比14%増だった。主力販売先のカジュアルSPA型小売店との取り組み強化と雑貨の販売拡大が寄与。スポーツやワーキング向けアパレル業態との商取引の深耕も重なり増収を果たした。
製品部門の売上総利益率は前期比で3・3ポイント上昇し、採算面も改善した。東南アジアを含めた生産地域の分散と地域内の工場集約の両立で体制を強化。納期管理の徹底や輸入製品の集約といった物流コストの削減が実を結んだ。
売上総利益額も278億円と過去最高を更新。売上総利益率は前期比から0・5ポイント上昇した。販売費・一般管理費も前期比10・4%上昇したものの、売上高との比率では0・6ポイント下がった。