ごえんぼう

2023年09月04日 (月曜日)

 予想とは難しいものである。円安で国内回帰が一気に進むかと思えば、いまだに紡績や染工場など事業撤退が続いている▼人手不足も一つの要因だが、そもそも低利益に慣れすぎて再投資ができていない状況に陥っている。大手紡績の決算を見れば、20年前は50%近くあった売上高における繊維比率も今や10%を切りそう。収益が悪化する一方の繊維以外へ投資するのも当たり前か▼ただ、円安が再び加速する中、海外へ攻める好機である。世界のアパレル市場は2019年の1・8兆ドルから25年には2・3兆ドルに拡大すると推計(経済産業省)。インバウンド需要に対し業界としてもっと日本の繊維を訴求するのも一つの手▼予想の「予」は元々、織機の「杼(ひ)」を成り立ちとする。予想がひっくり返れば、それは「●(予のさかさま)」(「幻」の本字)。予想を●(予のさかさま)としないためにも、ちょっとした変化にもしっかり対応できる、柔軟性を持ち合わせたい。