日系合繊メーカー/機能性や環境配慮アピール/「インテキ上海」最終日

2023年08月31日 (木曜日)

 【上海支局】中国・上海市内で開かれていた服地と副資材の国際展「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2023秋展」(インテキ上海)が30日、閉幕した。会期中、日系合繊メーカーも、機能性の高い織物や環境配慮型の繊維をアピールした。

〈開発品「ハイクロス」/TSD〉

 東レの中国法人で、長繊維生地を製造販売する東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)は開発品の織物「ハイクロス」を披露した。顧客と一心同体となって、開発を進めることが狙い。編み物のようなストレッチ性などの特徴が来場者から評価された。

 同社は、過去最大規模のブースを設けた。その中の1区画を「ブルースペース」と名付け、ハイクロスを核とした開発品を展示した。

 ブルースペースの目的は、顧客とコミュニケーションを取りながら、一心同体で開発を進める姿勢を示すことだ。同スペースへの注目度は高く、地場大手ブランドのトップを含む多くの関係者が足を運んだ。

 ハイクロスは、感性と機能性の融合を目指した軽量な織物。組織と原料でストレッチ性を持たせた。原料は非公開。今回展は、ダウン地などの8品番を披露した。

〈「エボトゥルース」前面に/TICH〉

 東レインターナショナルの中国法人、東麗国際貿易〈中国〉(TICH)は、東レの原糸・原綿を使い、現地でコンバーティングする生地ブランド「エボトゥルース」を前面に打ち出した。エレガントなシルクルック素材などが注目されていた。上海の伝統建築「石倉門」風のユニークなブースの外観も、注目を集めた。

 「シルクルック」「ウオーム」「プロテック」「ウールルック」の四つのコンセプトごとに、エボトゥルースを出展した。中でも、優れた発色性と光沢感を持つシルクルックが人気を集めた。

 エボトゥルースのほか、マレーシアのグループ会社、ペンファブリックの短繊維織物と、日本製のファッション素材ブランド「センビズム」をアピールした。双方ともに、付加価値志向が高い地場ブランドへの採用が進んでいる。

 ブースの外観イメージに採用した石倉門は、100年近く前の集合住宅で、今でもリノベーションなどを経た建物の一部が残されている。同社はサステイナブルへのこだわりや、地元社会に根ざす姿勢を訴求するため、このイメージを用いた。

〈羽毛代替の「オクタ」/南通帝人〉

 帝人フロンティアの中国法人で、ポリエステル長繊維の製織と、染色加工を主力に手掛ける南通帝人は、穴の空いた中空糸に放射線状の突起を配列することで超軽量を実現したポリエステル繊維「オクタ」と、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」を訴求した。

 オクタを、羽毛の代替となる充填(じゅうてん)素材として提案した。保温性が高く、軽量で、通気性が高いなどの特徴をアピールした。

 ソロテックスは、織物と編み物を出展。ソフトな手触りや快適なストレッチ性、高い形態回復性などの特徴を紹介した。

〈トリアセ繊維を出展/三菱ケミカル〉

 三菱ケミカルは、トリアセテート繊維「ソアロン」を出展。「ジェンダーレス」「シーズンレス」「トレンドレス」の三つの特徴や、環境配慮型繊維であることを打ち出した。

 中国では、ソロアン使いの婦人服地が紳士服地として採用されている。また季節を問わず使われ、トレンドに左右されず、幅広く採用されている。こうした傾向をアピールした。

 植物成分染料や、廃棄食品から抽出した染料使いの生地も紹介し、環境配慮型繊維を訴求した。