「インテキ上海23秋」レビュー(前)/日系出展者の商談健闘

2023年08月31日 (木曜日)

 服地と副資材の国際展示会「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2023秋展」(インテキ上海)が28~30日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で開かれた。1年半ぶりの開催となった反動で、かつてないにぎわいを見せた今春展(3月28~30日)に比べれば来場者数は減ったが、会期中多くの人で賑わった。「ジャパン・パビリオン」出展者の商談の件数と内容は、おおむね健闘した。

(上海支局)

 同展の出展者数は、4千社弱となった。新型コロナウイルス禍を受け、厳しい行動規制が敷かれた21年秋展(約3300社)を上回ったが、19年秋展(約4400社)には届かなかった。

 日本ファッション・ウイーク推進機構(JFWO)が主催するジャパン・パビリオンには、32社が出展した。うち新規出展者が6社、数年ぶりに出展する企業が6社となった。

 東レや帝人フロンティア、三菱ケミカル、スタイレム瀧定大阪などの多くの日系企業は、国際館などに単独でブースを構えた。

 来場者数はまだ発表されていないが、今春展は大幅に下回ったもようだ。今春展は、コロナ禍を受けた行動規制がない展示会としては19年秋展以来となり、この反動で来場者数が大きく伸びた。ジャパン・パビリオンの出展各社の商談件数も、過去最高水準だった。

 今回展の来場者数は今春展には届かなかったものの、ジャパン・パビリオンの商談者は商談内容におおむね満足していた。モリリンは、主力顧客に位置付けるネット通販ブランドの既存顧客や、新規顧客の来場者と商談した。モナ・ニットのブースには、デザイナーズブランドの関係者が多数訪れた。「今春展は来場客数が多過ぎて、しっかり商談ができなかった。今回くらいの来場者数がちょうど良い」など肯定的な声も聞かれた。

 今回展は、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、日中関係が急速に悪化したタイミングでの開催となった。出展者の一部は影響を懸念し、主催者も不測の事態を心配したのか、ジャパン・パビリオンにはいつもより多くの警備員が配置され、多数の防犯カメラが取り付けられた。しかし、3日間とも大きなトラブルはなく、杞憂に終わった。