大和紡績/フィルターを総合化/新タイプの開発強化
2023年08月18日 (金曜日)
大和紡績の産業資材事業本部は、カートリッジフィルターで総合化を目指す。研究開発機能を備える播磨研究所(兵庫県播磨町)で人員を増強し、新タイプのフィルター開発を強化。出雲工場(島根県出雲市)での一貫生産体制を生かし、主力の電子部品向けだけでなく、食品や化学などさまざまな用途開拓を進めるとともに、フィルターの高性能化を図る。
半導体など電子部品の製造工程でろ過に使われるカートリッジフィルターは昨年前半、納期が追い付かないほどの受注があった。しかし、後半からスマートフォンやパソコンの需要に一服感が出て、第1四半期(2023年4~6月期)の販売も苦戦した。「最終ユーザーによって凹凸がある」(青柳良典取締役産業資材事業本部長兼製品・テキスタイル事業本部長)ものの、第2四半期(7~9月)から自動車関連などで回復基調にある。
下半期(23年10月~24年3月)には、実需で「前上半期の水準には戻ってくる」と見込む。既にフィルターの受注は「底から脱却しつつある」として巻き返しに入った。
同社はフィルター分野で後発だっただけに、特徴を出すため、展開していた不織布を生かし電子部品を中心に販路を広げてきた。21年には各工場に分散していたフィルター製造設備と原料製造設備を出雲工場に集約し、原料から製品までの一貫生産体制を構築。その強みを生かし「高機能化を図る」とともに、食品や化学、塗料といった分野へも販路を広げる。
播磨研究所では人員を増やし、開発力を強化するとともに新タイプのフィルターの試験販売も始めた。
供給先の工場では粗ろ過、中間ろ過、最終ろ過など工程ごとに使うフィルターが異なり、フィルターの供給企業も違うケースが多いという。いずれの段階にも「対応できるようにしていく」として、高精度のフィルター開発によって総合化に取り組む。
現状では、より高精度が求められるフィルター商品は、米国メーカーがシェアを握っているという。新型コロナウイルス禍ではワクチン生産に供給が優先され、日本国内への入荷が遅れたケースがあった。しかし、同社が供給できるようになれば「国内向けにも安定した納期で供給できる」。
台湾や韓国など海外向けも「コロナ禍で落ちた部分を元に戻す」として円安を弾みに拡大に転じる。