特集 東海産地(3)/東海を支える商社/豊島・浜松支店/信友・原糸部

2023年08月08日 (火曜日)

〈豊島・浜松支店/生地販売の重要拠点に〉

 豊島・浜松支店は綿織物を中心に遠州産地に伝わるモノ作りを生かしつつ、生地販売の重要拠点として機能を果たす。電子商取引(EC)で生地や副資材を扱う「テキスタイルネット」も運営し、さらなる充実に向けて取り組む。生地備蓄販売の「HTシリーズ」も品種を増やす。

 豊島十部浜松支店の岡部良輔十部部長は「遠州の伝統的な技術に培われた商材を大事に扱うことが価値を生む」と話す。高密度な生地を天日に干し、独特な風合いを付与する「SUN AIRY」(サンエアリー)は国内外双方に販売が堅調。140番双糸の平織りや120番双糸のタイプライターなどを中心に引き合いが多い。

 ECや生地の備蓄販売も進化している。ECで生地・副資材を扱うテキスタイルネットは素材を扱うプラットフォームとして機能を果たす。HTシリーズとともに品種を拡充。難燃性を持つ「アグニノ」や廃棄対象の食料を染料に活用した「フードテキスタイル」が人気を博している。

 DX推進室と連携し、外国語の商品説明の搭載や海外との商取引に関するルート作りも進める。

〈信友・原糸部/“出口”見据えた適切な提案〉

 信友・原糸部は産地企業や販売先に向け、細分化するニーズに適切な提案で応える。綿だけでなく化合繊も含め、その複合や機能加工を付与した糸の提案で幅と奥行きを広げる。用途や形態に合わせた“出口を見据える提案”が着々と進む。

 名古屋本社と大阪支店の原糸課が細かな情報収集でニーズを的確につかみ、商取引に生かす。数ある原綿や原料の中から的確な組み合わせで“出口”に向けた“攻めの営業”を進める。最終形態の供給に適合する企画提案の精度向上を狙う。

 前年度(2023年3月期)原糸部の売上高は144億円で前々期比25%近くの増収だった。綿の相場が高騰し販売単価が上がったことが原因。ただし、これは綿糸の販売量は10%以上減少も、実用衣料やユニフォーム用途などで合繊糸の販売が増えた。

 森川知軌原糸部長は「今期は天然繊維回帰への機運が高まる。綿糸を中心に販売量の回復を進める」と話す。このほど、生地の企画・販売で経験豊富な人材を原糸部に配属した。新たな商流の構築も目指す。テキスタイル部や製品部との連携も強化する。