カケン/チェーンソー用防護服試験開始/国内の検査機関では唯一

2023年07月24日 (月曜日)

 カケンテストセンター(カケン)は、手持ちチェーンソー使用者のための脚部防護服の性能試験を始めた。試験項目は、切断抵抗性や防護範囲、洗濯による寸法変化など。これまでチェーンソー用脚部防護服に関する試験は、欧州などの検査機関に依頼する必要があったが、日本で試験が可能になったことによって利便性の向上が期待される。

 チェーンソー使用者のための脚部防護服は、規定された領域を防護し、各種要求性能を満たす服のこと。専門伐採者による通常の林業作業で使用するタイプA(ズボンとレギンス)、不定期作業で使うタイプB(チャップス、脚部保護衣)、頻繁に使用しないタイプC(ズボンとレギンス)の3種類がある。

 性能試験は「日本産業規格(JIS) T8125―2:2022」(ISO11393―2:2018)に基づいて実施し、納期は1~2カ月に設定。防護範囲と洗濯による寸法変化、使用材料の無害性、防護用挿入材取付強さ、切断抵抗性、エルゴノミクス(人間工学)の六つが主な試験項目となる。

 このうち切断抵抗性試験は、JIS T8125―2:2022が規定する装置で行う。タイプAとタイプBは前面の6カ所を、タイプCは前面の4カ所と後面の8カ所を切断し、試験片最内層である肌面の損傷(カットスルー)の有無を確認する。この試験ができるのは国内ではカケンだけ。

 エルゴノミクス試験は、脚部防護服を着用した被験者が左右の脚ごとに、ランジ姿勢や両膝地面に付ける、通常の速度で5㍍歩く、管をまたぐといった動作を行う。動作制限や不快感をスコア0(制限なし)からスコア4(著しく制限)の5段階で数値化し、平均スコアで評価する。

 2019年8月の労働安全衛生規則の改正で、チェーンソーで伐採作業などを行う労働者は、下肢の切創防止用保護衣の着用が義務付けられた。欧州検査機関での試験と比べて料金や納期に大きな違いはないが、「日本語で対応でき、試験の進行度合いなども確認できる。顧客は便利になる」と話す。

 受託開始後は試験を実施する東京事業所川口ラボへの問い合わせが多く、試験依頼も入っている。手持ちチェーンソー用防護服には、履物や手袋、脚半、上半身防護服などがあり、需要の多い製品から来年以降、順次対応を図っていく予定だ。