クローズアップ/帝人コードレ 社長 内田 俊一 氏/ニーズ対応とシーズ発想

2023年07月18日 (火曜日)

 帝人フロンティアグループで人工皮革「コードレ」の製造販売を担う帝人コードレ(大阪市北区)。世界的に人工皮革の需要が高まる中、主力のスポーツ分野を中心に好調な業績が続く。4月に就任した内田俊一社長に今後の戦略を聞いた。

――帝人コードレの強みは。

 当社は製造と販売の両方の機能がありますから、メーカー系商社である帝人フロンティアのグループ企業として動きやすい体制になっていると思います。この強みを生かして海外展開を進めてきました。島根工場(島根県大田市)とベトナムの協力工場の2拠点での生産を引き続き拡大していきます。一方、課題は労働力不足です。特に国内は人材の確保が一段と難しくなってきました。

――今後の重点戦略は。

 一つは、やはり「環境」に対する取り組みです。基材となる不織布の原料を再生ポリエステルに切り替えることや、ウレタンも環境負荷の小さいものを採用するなどです。製造過程で発生する二酸化炭素の削減も進めます。現在、燃料に重油を使用していますが、液化天然ガスへの転換を進める計画です。再生可能エネルギーの導入も検討しています。安全対策も不可欠です。工場で有機溶剤を使用しますから、そのケアを万全にしなければなりません。人手不足の中、今後は製造現場でも女性が活躍するケースが増えていくでしょうから、安全で快適な職場環境を作ることが重要です。

 もう一つは、開発のスピードアップです。当社は近年、顧客のニーズに対応した商品開発で成果を上げてきました。ただ、本来の強みはシーズ発想の開発力です。ニーズ対応とシーズ発想の両方を組み合わせる必要があります。

――2023年度も第1四半期(4~6月)が終わりました。

 コードレはシューズやボールなどスポーツ用途を得意とします。昨年度まで好調が続いていた反動もあって今期は市況がやや足踏み状態です。ただ、高級ゾーンは落ち込みが少ないですし、全体でも流通在庫が整理されれば回復に向かうでしょう。自動車内装材も需要が拡大していますから、自動車を含めた産業資材用途にも力を入れます。

 地域社会での認知度向上にも取り組んでいます。コードレは有名スポーツブランドのシューズやボールに多く採用されていますが、こういったことを地域住民にも知ってもらいたいですね。地域の高校にコードレを使った野球ボールを寄贈する試みも始めました。将来的に採用活動などにもプラスに働けばと考えています。