帝人フロンティア衣料繊維部門/“商工融合”強み生かす/インド市場開拓にも着手
2023年06月26日 (月曜日)
帝人フロンティアの衣料繊維部門は2023年度(24年3月期)の重点方針として“商工融合”の強みを生かしたスピーディーな素材開発と提案に取り組む。テキスタイル、製品ともにグローバルな生産基盤の整備を進め、ASEAN域内での販売拡大やインド市場の開拓にも取り組む。
23年度は引き続きサプライチェーンのリスク管理を重視する。鈴木哲志取締役兼副社長執行役員衣料繊維部門長は「当社の強みである“商”と“工”の融合を生かし、市場ニーズをとらえた商品を素早く展開する」ことを重視する。その一つが環境配慮素材の拡充。BHET法によるポリエステル繊維のケミカルリサイクルに取り組んでおり、使用済み繊維製品からポリウレタン弾性繊維を除去する前処理技術も開発した。これらを活用し、繊維to繊維リサイクルの実用化に取り組む。
衣料製品事業はスポーツ・アウトドア分野で「自社の素材を軸にした提案や取り組みを強化する」。現在、欧米を中心にテキスタイルの市況がやや低迷していることから「今期は衣料製品を伸ばすことで部門として前期を上回る数字を狙う」と話す。そのためにグローバルな生産基盤の整備と販売拡大に取り組む。インドネシア子会社での編み地生産やベトナム子会社での縫製を強化する。
グローバル販売にも力を入れる。中国子会社の南通帝人や帝人商事〈上海〉から欧米市場や中国市場への生地販売に力を入れるほか、東南アジア子会社もASEAN地域で生産する生地の現地販売を強化する。タイ子会社のタイナムシリインターテックスによるインド市場への販売もスタートするなどグローバルな市場開拓を推進する。
22年度(23年3月期)の衣料繊維部門業績は増収・大幅増益だった。テキスタイルなど衣料素材事業はスポーツ・アアウトドア用途が欧米向けで好調となっている。中国市場も新型コロナウイルス禍による一部混乱はあったものの内需、縫製再輸出向けともに悪影響を最小限に抑えることができた。
衣料製品事業は前半やや苦戦したものの後半から回復基調。オケージョン需要が復活しつつあり、ブラックフォーマルや重衣料が回復した。カジュアル衣料も販売量が回復している。
鈴木氏は「コロナ禍以降、サプライチェーンを強化し、リスク分散を進めてきた。マーケットが再開される中で、その成果が現れている」と振り返る。ただ、年度後半から円安による輸入コスト増加や原燃料高騰で利益が圧迫されていることが課題だと指摘する。