帝人フロンティア 産業資材部門/環境配慮素材を拡販/生活最終製品を強化

2023年06月19日 (月曜日)

 帝人フロンティアの産業資材部門は2023年度(24年3月期)の重点方針として、工業繊維・車両資材や生活資材分野でも環境配慮型素材を活用した商品の拡販を掲げる。また、生活製品事業では独自性のある素材を生かして最終製品開発に力を入れ、インターネットを通じた直販も拡充することで販売拡大を狙う。

 鎌田進常務執行役員産業資材部門長は、22年度について「前半こそ好調だったが、後半から市況が変調した。前半の貯金を取り崩しながら、通期で計画通りの数字を確保した」と振り返る。特に内装材やタイヤコード、ゴム資材など自動車関連は前半こそ堅調な荷動きだったが、後半からアジア市場の市況が低迷した影響を受けた。

 一方、人工皮革「コードレ」などは堅調だった。円安の追い風もあって海外販売が好調。シューズ用途などでメガスポーツブランドでの採用が拡大している。インフラ・環境素材事業もコンクリート補強材の販売が増加した。不織布も膜支持体向けの需要が旺盛だった。生活製品事業も吸湿繊維「ベルオアシス」を使ったヒット商品が生まれた。

 今期に関して鎌田氏は「自動車関連は完全回復に至っていないが、エアバッグは好調に推移している。タイヤコードも取引先の在庫調整が終われば販売も回復に向かう」とみる。こうした中、自動車関連用途でもリサイクル原料使いなど環境配慮素材の拡販に取り組む。使用済み製品などの回収も含めた仕組み作りが不可欠なため「自動車ならティア1との取り組みを進める」と話す。

 環境配慮素材では、高機能ポリエステルクッション材「エルク」や縦方向不織布「V―Lap」などもウレタン代替として自動車や寝装に向けて提案する。ウレタンと比べて燃焼時に有毒ガスが発生せず、リサイクルも容易な点を訴求する。また、生活製品事業は「帝人グループの独自素材活用した最終製品開発と拡販を進める」。インターネットを通じた直販も重視。そのため自社ネット通販サイトも拡充した。

 インフラ・環境素材事業は膜関連の不織布の好調が今後も続くとみており、「今後の増設に向けた検討を始める」。今期からインフラ・環境素材本部を立ち上げ、繊維資材や化成品も含めた幅広い用途と商材を持つシナジー発揮も重点課題に掲げる。