ITMA2023/欧州織機メーカー/レピア織機の新機種発表/扱いやすさや生産性向上
2023年06月14日 (水曜日)
【ミラノ=星野公清】イタリア・ミラノで開催中の繊維機械の国際展示会「ITMA2023」で、欧州の大手織機メーカー2社が、レピア織機の新技術を発表した。
ピカノール(ベルギー)は今回、レピア織機の新技術開発に注力した。次のITMAでエアジェット織機に力を入れるもよう。
今回展で発表されたレピア織機の新機種「アルティマックス」は、現行の旗艦機種「オプティマックスiコネクト」の汎用性やデジタル技術の活用などの特徴を継承しながら、生産性や耐久性、扱いやすさなどを向上させた。
レピアヘッドは新素材としてチタニウムを採用し、耐久性が向上した。織機外観が一新され、従来機より織機の高さを低くし、作業がしやすい形となった。サイドフレームの剛性を高めて稼働時の振動が低減され、安定生産につながる。消費電力も低減されたほか、生産性は約150回転上がり、800回転超を視野に入れる。来年1月から受注を開始する予定。部品の95%をオプティマックスと共有する。
オプティマックスでも新技術が披露され、ガイドレス式「フリーフライト」の540㌢幅機が披露された。
イテマ(イタリア)は、レピア織機の新機種「R9500エヴォ」とエアジェット織機(AJL)の新機種「A9500エヴォ」を発表した。レピア織機での捨てミミをなくして糸の無駄を削減する装置「iセーバー」の新型も披露した。
エヴォシリーズは、Wi-Fi対応や扱いやすい新型フロントパネルなど利便性が向上した。R9500エヴォはレピアテープを一新し、回転数と耐久性を高めた。ガイドレス式では従来機より約20回転上がる。駆動部品の重量バランスを最適化してスムーズな動きを実現したことで振動も抑える。
iセーバーはこれまで緯入れ4色までのガイドフック付レピア方式に装備していたが、今回展では緯入れ6色にも対応し、ガイドレス式にも装備できる形とした。
〈村田機械/自動ワインダーの次世代技術/糸切れ時も止まらず対応〉
ITMA2023では、糸関連でも次世代に向けた方向性が示された。村田機械は自動ワインダーの新技術と新機種を同時に発表。TMTマシナリーは仮撚り加工の次世代機をモニターで紹介した。
村田機械は、これまでにない技術を取り入れた自動ワインダー「FLcone」(ファルコン)を参考出品した。糸切れが起きても止まらず回り続け、「フローレスパッケージ」とうたう高い品質の巻き取りを実現する。
糸切れが起きても上部のドラムは回り続けながら、自動で糸切れ部を4秒でつないで対応する。糸切れで機械が止まった際、糸端がパッケージに飛び込むなどで品質に影響することがあるが、ファルコンは止まらず回り続けるので不良パッケージの低減につながる。これからテストを重ねて改良し、実販売につなげる。
今回展では自動ワインダーの新機種「AIcone」(アイコン)も発表した。12年ぶりのフルモデルチェンジで、生産性やパッケージ品質を向上しながら、省エネや作業者の負担軽減などを実現した。作業者の負担軽減ではアラーム処理の自動化や新設計のボビントレーなどの技術を取り入れている。
TMTマシナリーは、開発中の次世代の仮撚り加工機「ATF―G1」をモニターで紹介した。11月に上海で開かれるITMAアジアでプロトタイプを展示の予定。
ATF1500の後継機と位置付け、対面積当たりの生産性向上や省エネを図った。従来機は4段・384錘だが、ATF―G1は同じ高さで5段・480錘。新しい機構でコンパクト化を図るとともに、新型ヒーターの採用などで省エネも実現する。
〈次回は独ハノーバー/シンガポールでITMAアジア〉
次回のITMA(2027年)の開催地は、ドイツ・ハノーバーに決まった。ハノーバーでの開催は1991年以来で、会期は27年9月16~22日。
ITMAの前後の年に上海で2年ごとに開かれる「ITMAアジア+CITME」は、二つ目の開催地として、25年のシンガポールが決まった。会期は25年10月28~31日。6万平方㍍の展示面積で、700社超の出展を見込む。
ITMAアジアの上海開催は継続される。新型コロナウイルス禍で22年に予定されていた回が今年11月に変更された。24年は10月14~18日に開かれる予定。