ITMA/今日からミラノで開催/繊維機械の新技術を披露

2023年06月08日 (木曜日)

 【ミラノ=星野公清】繊維機械の国際展示会「ITMA2023」が今日8日(現地時間)、イタリア・ミラノで開幕する。4年ごとに欧州で開催される国際展示会で、多くの繊維機械メーカーがここで新技術を発表する。今回も紡績・合繊、織り・編み、染色加工、デジタルプリント、不織布など各分野で新技術が発表される。14日まで。

 ミラノでの開催は8年ぶり。4年前の前回展(バルセロナ開催)では、45カ国・地域から1700社超の出展があり、10万人超が来場した。今回展も前回と同水準の出展スペース20万平方㍍が全て埋まり、44カ国から1600社超が出展する。約10万人の来場者が見込まれ、日本からも多くの繊維関係者が訪れる。

 近年はITMAの前に新機種の提案を始めるケースも増えている。機械メーカーも「かつてのようにITMAを待ってから設備投資を決断するユーザーは減っている」というが、引き続き新技術を発表する重要な場となり、多くの新技術が披露される。高生産性や品質の向上に加え、デジタル化やサステイナビリティー、自働化・省人化などが重要なキーワードとなる。

 織機は各社が新機種を打ち出す。エアジェット織機(AJL)では世界最大シェアを持つ豊田自動織機が新機種「JAT910」を紹介し、津田駒工業は21年のITMAアジアで発表した「ZAX001 neo」で広幅の産業資材仕様を紹介する。欧州勢はITMA会場での発表が多く、ピカノール(ベルギー)はレピア織機の新機種「アルティマックス」を、イテマ(イタリア)は新機種「エヴォ」シリーズのAJLとレピア織機を出品する。織機に搭載する開口機では最大手のストーブリ(スイス)がドビーの新機種をデモ機で紹介する。AJLでは1千回転超が視野に入ってきた中、開口機も高速対応が進む。

 前回展で大きな動きがあった紡績機械も注目される。前回はエアジェット型精紡機への参入が増え、先行する村田機械の「ボルテックス」のほか、リーター(スイス)、サウラー(ドイツ)、ラクシュミ・マシン・ワークス(インド)が参入した。また、エアジェット型と異なる方向性として豊田自動織機がポット精紡を発表。ポット精紡はリング紡に近い糸質で生産性を2倍以上にでき、今回展では開発の進捗(しんちょく)が紹介される。

 自動ワインダーでも新しい技術が披露され、村田機械は12年ぶりのフルモデルチェンジとなる新機種「PROCESS CONER AIcone」を出品するほか、まったく新しい技術による自動ワインダーも参考出品する。合繊機械のTMTマシナリーは仮撚り加工機の新技術について、モニター展示を行う。

 丸編み機では福原産業貿易が電子ジャカードのファインゲージ機(36ゲージのダブルニットなど)のほか、省エネにつながる新技術を紹介する。デジタルプリントでは顔料インクなど水使用量の削減につながる提案が増えるなど、技術開発においてサステイナビリティーの重要性が増している。