再生に向かう商社繊維事業 22年度決算から(2)/国内市況の復調鮮明に/伊藤忠商事/蝶理/帝人フロンティア

2023年06月06日 (火曜日)

〈アパレルの回復で増収増益/伊藤忠商事〉

 伊藤忠商事繊維カンパニーの2023年3月期連結決算は、収益が5301億円(前期比19・2%増)、売上総利益が1165億円(20・4%増)、営業利益が199億円(46・0%増)、純利益が254億円(1・3%増)の増収増益だった。

 新型コロナウイルス禍の影響の軽減に伴い、アパレル関連事業の業績が改善した。前の期から一過性利益が減少したものの、増益を果たした。

 主要関係会社の連結取り込みの純利益を見ると、デサントが41億円で前の期から大幅に増加し、ジョイックスコーポレーションが4億円増の11億円、三景も6億円増の11億円となった。エドウインは10億円減の6億円だった。

 今期(24年3月決算)は、スポーツ分野を中心としたアパレル関連事業の伸長に加え、一過性利益の増加などにより、純利益330億円を見込む。

〈サステ商材が順調に成長/蝶理〉

 蝶理の繊維事業の23年3月期連結決算は、売上高が1448億円(前期比25・4%増)、売上総利益が183億円(23・4%増)、営業利益が55億円(57・7%増)、経常利益が51億円(71・2%増)だった。

 売り上げの内訳は、国内が361億円(14・4%増)、輸入が577億円(34・7%増)、輸出・海外売上高が510億円(24・0%増)。

 国内衣料品市況が復調に向かったことや、再生ポリエステル糸「エコブルー」などのサステイナブル商材の取引が拡大した。2年前に子会社化したSTXとのシナジーも発現している。

 サステイナブル商材の売上高は200億円規模にまで成長しているが、今期からスタートさせた3カ年の新中期経営計画では500億円を見込む。

〈欧米、中国向けが好調/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアの23年3月期業績(帝人の繊維・製品事業セグメントの連結業績)は、売上高3217億円(前期比13・9%増)、営業利益99億7200万円(76・8%増)で増収大幅増益を達成した。衣料繊維を中心に順調な推移を見せた。

 衣料繊維は、欧米と中国向けの生地と衣料品の販売が好調だった。日本国内も行動制限緩和によって衣料品の販売に回復傾向が見られた。

 産業資材は、自動車関連部材、人工皮革、水処理フィルター向けポリエステル短繊維が堅調に動いた。

 23年度(24年3月期)は、衣料繊維ではグローバルアパレルを中心に高付加価値素材の拡販に注力する。産業資材は、モビリティー、環境・インフラなどの成長領域での製造基盤強化を図る。環境戦略「シンクエコ」の推進にも取り組む。