川越政/製販で海外事業拡大/初のMU、PV、インテキ上海出展

2023年06月01日 (木曜日)

 生地商社の川越政(大阪市中央区)は今期(2024年3月期)から、海外での生地生産を開始する。国内産地や染色加工場のスペースが縮小していることが背景。近年好調な生地輸出も、イタリアの「ミラノ・ウニカ」(MU)、フランスの「プルミエール・ヴィジョン・パリ」(PV)、中国の「インターテキスタイル上海」にそれぞれ初出展するなどで拡大を図る。

 同社はこれまで、生地生産を国内の産地企業や染色加工場に依頼する国産主義を貫いてきたが、国内の生産スペースが縮小していく中、今期から海外生産に踏み切ることを決めた。対象国は中国、ベトナム、韓国。中国・上海とベトナム・ホーチミンには法人を開設済み。

 製品OEM事業ではこれまで縫製地を中国に定めてきたが、今期はリスク分散として拠点のあるベトナムへのシフトを進める。

 近年好調の生地輸出は今期も拡大を狙う。そのための策として、今年2月には初めてMUに出展し、「かなりの手応えを得た」(川越浩治社長)。続いて7月のPVパリ、来年3月のインテキ上海にもそれぞれ初出展し、輸出拡大を加速させる。

〈過去最高の売上高生地輸出がけん引/23年3月期〉

 川越政の23年3月期決算は、売上高が31億1200万円(前期比4・7%増)となり、前の期に続いて創業以来の過去最高を更新した。伴って各利益も伸びた。

 中国のロックダウン(都市封鎖)を受けて製品OEM事業の売り上げは前期比5・4%減の18億300万円となったが、生地販売が23・1%増の12億9500万円と拡大し、全体をけん引した。

 生地販売は国内の既存販売先からの受注が好調に推移したほか、中国、東南アジア、欧米などに向けた輸出が前の期と比べて25・7%増と大きく伸びた。