特集 ITMA(5)/新技術の開発進む/セイコーエプソン/日本ボールドウィン/京セラ/伊藤忠マシンテクノス

2023年05月30日 (火曜日)

〈サステなデジタル捺染/充実の品ぞろえアピール/セイコーエプソン〉

 セイコーエプソンは、サステイナビリティーとデジタル化を追求した捺染プリントを提案する。今回は、約千平方㍍という出展企業の中でも最大規模のブースを開設する。

 広丘事業所(長野県塩尻市)とエプソンコモプリンティングテクノロジー、欧州と周辺地域を統括するエプソンヨーロッパ(オランダ)が中心となり、豊富な品ぞろえをアピールする。世界各地に設けた販売拠点とサービス体制、自社製プリントヘッドを持つ強みなども打ち出す。

 今展では、新規のマーキング技術を採用した捺染プリンターの新型機を初披露する。同機は2024年から地域ごとに順次、販売を開始する予定。

 同社のインクジェットデジタル捺染機「Monna Lisa」(モナリザ)シリーズは、イタリア・コモ地区などで〝EPSON〟ブランドとともに認知されている。今展でも、エントリーモデルからハイエンドモデルをそろえ、多様なニーズに対応する。

 エントリーモデル「ML―8000」は、少量・多品種生産に適した機能性や操作性を備えながら、色を忠実に再現して滑らかな階調を表現する。プリントヘッドを32個搭載した「ML―32000」は、高生産性、高品質、安定稼働を同時に実現させたシリーズ上位の製品。

 これら捺染機と併せ、水の使用量を減らす顔料インクも提案し、環境に配慮した服作りを推奨する。

〈スプレー塗布装置など提案/パイオニアとしての実績を/日本ボールドウィン〉

 印刷周辺機器などを製造する日本ボールドウィン(東京都港区)は、非接触式スプレー塗布装置「テックスコートG4」と電極表面処理装置「Plasma pure」(プラズマ ピュア)を提案する。製品の特性はもちろん、印刷業界における製品改良のパイオニアとして培ってきた実績も来場者に伝える。

 テックスコートG4は、新聞印刷の輪転機に使用する高速スプレーダンプナーの技術を応用した装置。撥水(はっすい)剤や柔軟剤、抗菌剤をはじめとする低粘度の薬液を正確かつ均一に塗布することができるのが特徴だ。米国のボールドウィン・テクノロジー・カンパニーが開発した。

 布や不織布など、走行する対象物の片面または両面に塗布する。表面に液体を塗布するという非接触方法は、最小限の水や化学薬品しか使用しないため効率的で環境にも優しい。水や薬剤、エネルギーの使用量は約50%減らせるという。

 プラズマ ピュアのシステムの高電圧セラミック電極は、生地表面を効率的に処理するために使用されるエアプラズマを生成する。その結果、生地の吸収性と接着性が大幅に向上する。

 ユーザーフレンドリーなデジタルタッチスクリーンコントロールパネルにあるソフトウエアによる簡易操作などで、システム障害の早期発見、時間短縮ができる。

〈顔料IJ捺染機披露/水使用量99%削減/京セラ〉

 京セラは、このほど開発した顔料インクに特化したインクジェット(IJ)方式デジタル捺染機「フォレアス」を「ITMA2023」で披露する。染料捺染並みの柔らかな風合いを実現しながら、通常の染料アナログ捺染と比較して水使用量は99%削減することを打ち出す。

 顔料捺染は染色後のスチームや洗浄などの工程が不要なことから、水使用量を削減できる一方、風合いが硬化することや染色堅ろう度を高めにくいなどの弱点があった。この課題に対して独自の顔料インク、前処理剤、後処理剤を開発し、さらに独自設計のプリンターヘッドでこれらを同時に生地に吐出するオールインワンプリント方式を採用した。

 これにより柔らかな風合いと高い染色堅ろう度の両立を実現する。通常の染料アナログ捺染と比べて水使用量を99%削減することに成功した。インクやシステムを変えずに天然繊維から合成繊維まで多様な生地への高精細なプリントが可能。

 プリンターヘッドは最大18本(うち2本は前処理剤と後処理剤の吐出用)装備し、最大8色でのプリントが可能。最大印刷幅は1800㍉、対応布幅は最大1850㍉。解像度は600×600dpi。標準モードで毎時250平方㍍のプリントが可能だ。

 水資源に依存しない捺染方式のため、設置場所を選ばず、適地・適量生産による廃棄ロス削減や物流コスト削減にも貢献できる。

〈顔料IJで柔らかな風合い/低浴比の液流染色機も/伊藤忠マシンテクノス〉

 ITMAミラノには伊藤忠マシンテクノスが日本での代理店を務める繊維機械メーカーが多く出展する。このうち染色加工では、ユーザーのサステイナビリティー実現に貢献する機械がそろう。

 EFIレッジャーニ(イタリア)は、顔料インクのインクジェット(IJ)捺染機を紹介する。染料インクで必要な蒸しや洗浄などの後工程が不要で、複合を含めてさまざまな素材に使える。日本での最初の導入は近江織物(滋賀県東近江市)で、「テラ シルバー」を今夏に稼働させる予定。

 EFIレッジャーニは独自の顔料インク「テラ」により顔料の課題だった風合いの固さを解決した。繊維に固着させるためのバインダーを顔料の上に乗せることが固さの原因となるが、テラは顔料インクにバインダーが含まれているので染料インク並みの柔らかさを実現する。堅ろう度もホームテキスタイルに求められる水準をクリアする。

 今回展ではバインダーに加えて前処理剤も含む「エコテラ」が発表される予定で、前処理も不要となる。

 液流染色機では、ドンアダイイングマシナリー(韓国)の低浴比型染色機を日本市場に紹介する。独自のノズル機構で生地に染液を噴射し、効率的に染める。浴比は1対3~4を実現し、水や薬剤、エネルギーなどの大幅な削減につながる。常圧、高圧をそろえ、日本では尾州や今治などさまざまな産地で導入が増えている。