特集 ITMA(3)/新技術の開発進む/イテマ/豊田自動織機/ピカノール/津田駒工業/ストーブリ

2023年05月30日 (火曜日)

〈新機種「エヴォ」発表/「iSAVER」は新タイプ/イテマ〉

 イテマ(イタリア)は今回展で、新機種「エヴォ」シリーズを発表する。従来に比べて環境配慮、性能、扱いやすさの各面を進化させた。会場では顧客であるISKO、マンテロ・セタ、ドラゴ・ラニフィチオ・イン・ビエラ、テッシトゥーラ・マリノーニ、フラウ・ペレスなどの有力テキスタイルメーカーと協業し、レピア織機「R9500エヴォ」、エアジェット織機「A9500エヴォ」による製織実演を行う。

 レピア織機で織物端にできる捨てミミの左側をなくして無駄な糸の削減を実現する「iSAVER」の新タイプも披露する。これまでは緯入れ4色まででガイドフック付レピア方式にしか装備できなかったが、緯糸6色に対応し、ガイドフックなしのレピア織機にも装備できる形になる。現在はデニムなどで好評を得ているが、さまざまな織物に広げていく。

 稼働管理などデジタルソリューションの提案も充実させる。

 会場では、R9500エヴォによるウール織物(ドビー、220センチ幅)、ストレッチデニム(ドビー、220センチ幅)、タペストリー(20480口ジャカード、190センチ幅)、タオル(6144口ジャカード、260センチ幅)、帆布(ドビー、220センチ幅)の実演を行う。エアジェット織機「A9500エヴォ」はボトム地(カム、190センチ幅)を実演するほか、テクテキスタイルの製織に向く「ヘラクレス」も展示する。

〈AJL「JAT910」提案/ポット精紡の進捗も紹介/豊田自動織機〉

 豊田自動織機は昨年11月に発売したエアジェット織機(AJL)の新機種「JAT910」をメインに提案する。

 JAT910は発売から好評を得ており、中国とインドを中心に受注が拡大している。従来モデルの高速・低振動技術と製織能力を引き継いだ上で、環境性能の向上や工場管理の効率化に対応する。緯入れのエア噴射システムの構造を改良し、従来機に比べて空気消費量を20%、空気圧力を10%低減した。新型メインモーターとインバーターを採用し、電力消費量は10%削減する。

 緯糸の飛走状態を検知する織幅内緯糸検知センサー「i―SENSOR」が搭載され、最適な空気圧力や緯糸の搬送条件を自動で算出し、稼働効率の向上を支援する。

 今回展では実機3台を展示。1台は電子開口装置「Eシェッド」を搭載し、極細糸のストレッチ織物を生産する。もう1台は新たなクランク開口装置「Cシェッド」搭載の広幅で、ベットシーツや枕カバーなどの製織を実演する。3台目は電子ジャカードで多様なタオルの生産を実演する。

 紡機は前回のITMAバルセロナ(2019年)で発表したポット精紡の開発状況をビデオで紹介する。円筒上のポットが高速回転し、遠心力で撚りを与えて巻き取ることで糸にする。リング精紡のような糸質で、生産性はリング精紡機の2倍以上となる。

〈レピアの最新機種披露/「アルティマックス」を実演/ピカノール〉

 ピカノール(ベルギー)はレピア織機の最新機種「アルティマックス」を初披露する。デジタル技術を駆使した最新機種で、詳細は会場で発表される。

 ピカノールはデジタル技術を取り入れた織機の開発に注力してきた。現在は「オプティマックス―iコネクト」を柱に展開し、世界で6万台以上の同社製レピア織機が稼働する。

 今回展では、レピア織機の最新機種「アルティマックス」が発表される。デジタル技術を取り入れ、高パフォーマンス性、高品質、サステイナビリティー、扱いやすさなどを高水準で兼ね備える機種になっていると言う。2024年1~3月から販売を開始する予定で、会場ではアルティマックスによるデニムやタオル、カーペットなどの実演を行う。

 エアジェット織機「オムニプラス―iコネクト」はさらなる高速化を実現するとともに、新システム「O―LENO」を披露する。

 織機ユーザーのための総合的なデジタルプラットフォーム「PicConnect」も進化させる。同サービスは21年秋に立ち上がり、現在は稼働状況、消費エネルギーのモニタリング、機械の迅速な設定、スペアパーツのオンライン購入などが可能となっている。

 ピカノールの日本総代理店を務めるエディー(大阪府東大阪市)もピカノールブースに常駐し、日本からの来場者に対応する。

〈最新鋭AJL提案/広幅産業資材用途へ/津田駒工業〉

 津田駒工業は、「スマート エコロジー~環境と生産の調和」をコンセプトに、エアジェット織機の最新機種「ZAX001neo」を出展する。

 ZAX001neoは、AJLの基本となるノズル、バルブ、制御技術を最適化し、扱いやすさや省エネルギー、高速生産などを実現した。

 新開発のサブノズルを採用し、配置も新たに見直した。繊細な裏地でも高品位を保ち、高速稼働による省エアと低圧化を実現した。従来機種に比べて空気消費量は35%、圧力は20%低減する。原動部はダイレクトギアドライブで、従来のインダクションモーターから、専用開発の高効率なIPMモーターにして省電力での高速稼働を実現する。

 今回展では広幅の産業資材用仕様も打ち出す。TAP(ツダコマ・アドバンスド・プラットフォーム)の強靭な構造と高効率IPMモーターに加え、新たに開発した高搬送サブノズルの組み合わせで、太繊度、太番手糸を超広幅で対応する緯入れと高速安定稼働を可能とした。

〈電子ジャカードで進化版/ドビーも次世代コンセプト機/ストーブリ〉

 ストーブリは今回展で電子ジャカードやドローイング機の新機種を発表する。主力のドビーでも次世代コンセプト機を披露する。

 電子ジャカードは今回のITMAで大口から小口まで「プロ」シリーズが出そろう。電装関連が一新され、省スペースや省エネにもつながる。

 電子ジャカードの従来機は電源ボックスが付いていたが、プロシリーズは電源ユニットを内蔵し、省スペースになる。ヘルツフリーで、50ヘルツ、60ヘルツを問わず使える形になる。消耗部品であるコンデンサも不要となり、ランニングコストの削減につながる。

 基幹のモジュールも一新される。これに先立って搭載を進めてきた新システム「NOEMI」と合わせ、トータルで約10%の省エネを実現する。2688口のSX型の電気使用量は従来の1時間=330㍗から300㍗になり、大口はより高い省エネ効果が期待できる。

 ブースではドビーの次世代コンセプト機も披露する。さらなる高速対応などが特徴。織機の高速化に伴い既に積極カムは1972型で1000回転超の製織に対応するが、ドビーも織機の高速化に対応していく。

 製織準備機ではドローイング機の新機種「サファイア S65」を出展する。経糸の識別・処理を制御する「アクティブワープコントロール」の新バージョンで精度が高まる。