ユニチカの新中計/営業利益70億円目指す/早期の赤字解消不可欠
2023年05月17日 (水曜日)
ユニチカは今期(2024年3月期)から25年度(26年3月期)を最終年度とする3カ年の新中期経営計画をスタートさせた。25年度に連結売上高1500億円、営業利益70億円、経常利益50億円、純利益20億円を目指す。上埜修司社長は目標達成に向けて「22年度は営業赤字となった機能資材事業と繊維事業の赤字解消が不可欠。その上で販売数量の拡大を進め、目標達成を目指す」との考えを強調した。
同社は30年近辺に売上高2千億円、営業利益200億円を目指す長期ビジョンを掲げている。前中計と同様に新中計は長期ビジョン実現に向けたステップと位置付ける。
不採算事業の抜本対策や高機能製品の拡販などによる事業ポートフォリオの再構築、生産・販売体制の整備と人材育成によるグローバル化の推進、組織風土改革と技術伝承など事業基盤の整備を基本方針に掲げる。
高分子事業はフィルム事業で高機能製品や環境配慮型製品の拡販を進める。インドネシア子会社での生産品を活用することで海外売上比率の向上を目指す。
機能資材事業は活性炭繊維、ガラス繊維、ガラスビーズぞれぞれで市場ニーズに対応した高機能製品を拡販し、収益力の強化を進める。不織布はタイ子会社のタスコの生産品と生産設備を増強したスパンレース不織布の販売を拡大し、ポリ乳酸(PLA)繊維「テラマック」など環境配慮型製品の販路開拓も強化する。産業繊維も中空糸膜など環境配慮関連製品の販路開拓に取り組む。
繊維事業はユニチカトレーディングを中心とした衣料繊維の赤字解消を進め、不採算事業の構造改革とコスト削減、価格転嫁に取り組むことで収益改善を目指す。環境配慮型製品の拡販とグローバル生産を含めたサプライチェーンの強化と2次製品ビジネスの拡大も図る。
〈原燃料高騰で大幅減益/23年3月期〉
ユニチカの23年3月期連結決算は、売上高1179億円(前期比2・8%増)、営業利益13億2700万円(77・9%減)、経常利益10億6900万円(83・3%減)、純利益1億200万円(95・4%減)だった(短信既報)。原燃料高騰に値上げが追い付かず、機能資材事業と繊維事業が営業損失となった。
機能資材事業は売上高344億円(0・1%増)、営業損失5億3500万円(前期は営業利益2400万円)だった。活性短繊維が苦戦したほか、ガラス繊維はテント・シート向けが堅調も電子材料向けが半導体市況の悪化で低迷した。不織布事業は海外販売などが好調だったが、原燃料高騰の影響で苦戦した。産業繊維は建築土木向けが好調だったが、フィルター向けや水産用途が低調だった。
繊維事業は売上高319億円(前期比8・4%増)、営業損失15億3500万円(前期は営業損失6億1千万円)と赤字が拡大した。衣料繊維はユニフォームや婦人服などが回復傾向。値上げの効果で売上高が増加した。ただ、円安による輸入コスト増や原燃料高騰を補いきれず、利益面は低迷した。
今期は連結売上高1300億円(10・2%増)、営業利益38億円(186・3%増)、経常利益24億円(124・4%増)、純利益9億円(775・4%増)を見込む。