LIVING-BIZ vol.93(9)/ふとん地製造卸/西川/ニトリ/ブレインスリープ
2023年04月18日 (火曜日)
〈ふとん地製造卸/保温性高める生地・中材提案/光熱費や羽毛価格増に対応〉
ふとん地製造卸は、23秋冬向けで保温力を高める生地や中材の提案を強める。羽毛量を減らしても保温力を保ち、光熱費の上昇や羽毛原料の高止まりに対応する。
蔭山(大阪市中央区)は22秋冬向けで、83デシテックス、288フィラメントのハイカウントマイクロファイバーとレーヨンを使用した吸湿発熱性を高めた羽毛ふとん“側”(中わたを入れる前の半製品)「ファインマイクロRA―1」を提案。同社の従来品(ポリエステル×ポリエステル・綿の交織)の羽毛ふとん地との比較試験(ボーケン規格吸湿発熱性試験)では2℃高く、好評で備蓄品が完売したことから、23秋冬では、「サーモウォーム」シリーズとして品ぞろえを拡充する。
同シリーズにはファインマイクロRA―1のほか、体から放出される遠赤外線を蓄熱して保温する炭素系素材のグラフェンを使用した羽毛ふとん側、宇宙服にも使われている断熱素材「エアロゲル」使った特殊仕様の羽毛ふとん側・中材、アルミ使用の別注タイプの羽毛ふとん側「メタル」を新たに加えた。
丸ホームテキスタイル(大阪市中央区)は、ポリエステル×ポリエステル・綿の交織にアルミ蒸着加工した「サーモマジック」を提案する。体から放出された遠赤外線を反射して温め、就寝時に5分で従来生地と比べて約5℃高まると言う。
サーモマジックの側を使うことで羽毛充填(じゅうてん)量を0・5キロに減らしても、従来の羽毛1キロの羽毛ふとんと比べて保温性が約40%アップすると訴求する。
〈西川/快眠セミナーにエクササイズ導入/アシックスとのコラボで〉
西川は企業向け「快眠セミナー」に、アシックス監修の快眠エクササイズを導入した。新プラン「西川とアシックスによるコラボセミナー」として、3月中旬に本格始動した。
従業員の健康増進に取り組む企業を対象にした“睡眠ソルーション”事業の一環。快眠セミナーは自社研究機関である日本睡眠科学研究所監修の下、2014年にスタート。既に企業や団体で累計150件以上の実績があり、好評を得ている。
新プランは講義と体験の2パートで構成。“睡眠の西川”と“運動のアシックス”、それぞれの研究所が長年培ってきた知見を織り交ぜた。60~90分程度の所要時間で、眠りの重要性や良い眠りのためにできることなど、快眠のヒントを具体的に紹介する。エクササイズは体験パートで実施。アシックスのスポーツ工学研究所が監修した睡眠のためのエクササイズ「ビースリープ」を行う。
参加者への事前アンケート結果を基に、各企業の職場環境に合った内容へのカスタマイズも。睡眠の質向上を通じた従業員の健康づくりをサポートする。
先行実施した2社では好感触を得た。1月に食品製造販売のカルビーでオンライン開催。6日に対面開催した食品・酒類総合卸売業の国分グループ本社では寝具と歩行測定の体験会も行った。参加者からは「今日聞いた内容を1日のルーティンに取り入れたい」(カルビー)、「睡眠不足が体重増加につながるとは知らなかった」「寝具体験で自分に合う枕の高さが分かった」(国分グループ本社)などのコメントが聞かれたという。
〈ニトリ/布団洗いサービス開始/フトン巻きのジローと協働〉
ニトリは3月、ニトリネットで「布団洗いサービス」を始めた。寝具を丸ごと洗えるコインランドリーを運営するフトン巻きのジロー(栃木県宇都宮市)とタイアップ。送料無料で依頼者宅まで集荷・クリーニング後に発送し、手間も掛からないようにした。
ふとんを洗いたくても「重くてクリーニング店に持ち込めない」「店に行く時間がない」といった悩みに対応。寝具の保管場所に困っている人も多いことから、保管付きのサービスも用意した。
フトン巻きのジロー独自の技術とシステムにより、中わた中心部までしっかり洗浄。汗や皮脂汚れを洗い落として乾かしふっくら仕上げる。乾燥でダニも撃退する。対象は敷/掛けふとん、羽毛ふとん、毛布、こたつふとん。専門スタッフが寝具の素材や種類、汚れ具合に合わせて洗濯・乾燥。他の客のふとんと混ざらないよう個別洗濯する。
最短5日で届ける「お急ぎ布団クリーニング」9990円、最大9カ月の「保管付き布団クリーニング」1万1900円。回収袋に収まる枚数(圧縮袋の場合10枚まで詰め放題)をまとめて対応する。
〈ブレインスリープ/“掛けた方が涼しい”を提案/夏用掛けふとん開発〉
睡眠関連事業を展開するブレインスリープ(東京都千代田区)は、持続冷感技術の4層構造夏用掛けふとん「ブレインスリープ・コンフォーター・パーフェクトクール」(以下、パーフェクトクール)を開発した。
クラウドファンディングサイト「マクアケ」の寝具部門で、応援購入総額が歴代1位となった同社の「パーフェクトウォーム」に続き、宇宙関連技術を採用。宇宙服のために開発された、熱の吸収・蓄熱・放出を効率的に行うPCMをマイクロカプセルにして繊維に配合している。寝返りなどで体とふとんとが離れると冷感が復活・持続。“掛けた方が涼しい”夏用掛けふとんとなった。
接触冷感値(q―max値)は0・524。パーフェクトクールを掛けると、34・4℃(猛暑日の外気温並み)の体表面温度が、快適な20・9℃に下がる検証結果も得た。掛けた方が13・5℃低い。肌触りが滑らかなマイクロファイバーの側地でカバーは不要。掛けふとん全体で吸湿・放湿するので蒸れにくく、中わたは親水性があるため丸洗いできる。
シングル(2万4200円)、セミダブル(2万9700円)、ダブル(3万5200円)の3サイズ展開。涼しげなブルーとシルバーグレーの2色用意した。3月19日にマクアケで先行予約販売を開始。約2週間の応援購入は3672万円と、好調に推移している。同時に予約を開始した、パーフェクトクールのマットレスカバーと枕カバーも好評だ。