東洋紡と三菱商事/30年度に売上高2500億円/東洋紡エムシーで
2023年04月07日 (金曜日)
東洋紡と三菱商事は4月から事業を開始した機能素材事業の合弁会社、東洋紡エムシーで2030年度には売上高2500億円、営業利益200億円を目指す。メーカーの技術力と商社のマーケティング力・海外ネットワークを融合し、既存事業の拡大に加えて海外市場の開拓に取り組む。
今回の合弁事業に関して東洋紡の竹内郁夫社長は「事業環境の変化が激しく、従来のやり方では現状維持すら難しいと判断した。“メーカー×商社”によって当社のエッジの効いた商品を海外に販売していく」と話す。三菱商事の塚本光太郎常務執行役員総合素材グループCEOも「日本の素材産業が欧米企業に飲み込まれてしまうとの危機感もあった。それは当社にとってもネガティブ。世界に通用する日本の素材産業の強さを打ち出すことで東洋紡と考えが一致した」と話す。
東洋紡エムシーは「素材バリューチェーンや産業全体を俯瞰(ふかん)した取り組みも進める」(東洋紡エムシーの森重地加男社長)。原料サイドでは調達戦略を強化し、リサイクルやバイオ原料調達を推進する。再生可能エネルギーやカーボンクレジットの活用などエネルギートランスフォーメーションも推進する。ユーザーサイドでは海外を含むエンドユーザーとの接点を強化し、川下ユーザーとの共創による素材・事業開発に取り組む。
「ポートフォリオマネージメントも強化する」(東洋紡エムシーの馬場重郎副社長)とし、各事業の事業ライフサイクルに応じた施策を実施する。廃水・排ガス処理装置や水処理など機能ソリューションとエンジニアリングプラスチックなどのモビリティー・電子材料は「成長」事業と位置付け積極的な投資を進める。化成品と高機能ファイバーは「収益強化」事業として利益率を重視。不織布関連は「事業改革」事業として収益改善・事業モデル改革に取り組む。
そのためにM&Aを含めた戦略的アライアンスを積極的に進め、特に北米など海外市場での販売拡大に力を入れる。現在、東洋紡エムシーの売り上げ規模は約千億円であり、海外売上比率は30%程度。環境ソリューションやモビリティー・電子材料、化成品などを中心に海外販売拡大を推進する。