「インテキ上海23春」レビュー(下)/コスパ、短納期、中国製求める

2023年04月05日 (水曜日)

 「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2023」(3月28~30日、国家会展センター)のジャパンパビリオンに来場したバイヤーの共通点は、コストパフォーマンスが高く、納期が短い中国製備蓄品を求めていたことだ。市況が悪いことや、短納期のニーズが強まっていることを反映しているとみられる。

 ユニセックスの中高級カジュアル「ウィミン」の張晟デザイナーは、中国製備蓄品を探していた。同ブランドはネット通販専業で、中国でいち早く帝人フロンティアのPTT繊維「ソロテックス」使いを打ち出した。日本製生地使いが多いが、「日本で備蓄している生地だと納期が長い。コスパが高く、納期が短い中国製備蓄品がベストだ」と話した。

 国内外で展開するメイドトゥオーダー(MTO)ブランドの「ザ ボールト」は、日系生地商社から生地を購入しているが、「もっと安い生地が必要」(王安林デザイナー)なため、新たなサプライヤーの開拓のために来場した。

 中国アパレル最大手、海瀾之家グループの新ブランド「HLAプラス」の劉瀏・業務開拓部員は「(ジャパンパビリオンの出展内容に)満足している。もっと納期が短くなれば、言うことなし」と述べた。同ブランドは、都市部の若者の機能性や、個性追求のニーズに応えるメンズブランドで、日系生地商社の生地を使っている。

 ネット通販専業の中高級レディース「ダディンコワ」を運営する青島紫墨服装の楊純総経理は、「価格競争力のあるサプライヤーを探しにきた」と語った。製品の価格は下がる傾向にあるが、生地などのコストが上がっているのが悩みだ。「今後はコスパの高いサプライヤーがより求められる」と楊総経理はみる。

 「ゼロコロナ政策」が終了したことで、年初からブランド各社の売り上げは回復傾向にあるものの、市況の不透明感はなお払拭できない。昨年の上海の都市封鎖などの混乱で在庫を抱えるブランドが多く、生地発注の正常化には時間がかかる。景気低迷も懸念材料だ。こうした中、コスパ、短納期、中国製の三つが勝敗を分ける要素になっている。(おわり)