南通帝人/差別化、環境対応加速へ/23年3月期も増収増益

2023年04月04日 (火曜日)

 【上海支局】ポリエステル長繊維の製織と、染色加工を主力に手掛ける南通帝人の2023年3月期業績は、前の期に比べ増収増益だった。欧米スポーツ、カジュアル向けの好調が下半期まで続いたことが貢献した。今期(24年3月期)生地の差別化と、環境対応を加速する。

 主力の欧米向けは、大手スポーツとカジュアルブランドの顧客がともに上半期まで好調を維持した。しかし下半期から欧州景気の低迷が響き、欧州ブランド向けが減速した。「上半期の貯金で下半期の落ち込みをカバーできた。ただ今上半期はしんどくなりそうだ」と、東政宏董事長は話す。

 昨年4月に江蘇省南通が都市封鎖された際は、約300人が工場内に泊まり込み、生産を続けた。これにより、納期遅れをほぼ防いだ。

 一方、中国内販は上海の都市封鎖などの打撃を受け、顧客の売り上げが落ち込んだ影響を受けた。「ダウンウエア大手向けは健闘したが、スポーツブランド向けが芳しくなかった」(東董事長)。

 大手SPA向けがメインの日系向けは、ほぼ計画通りに推移した。

 今期は、糸の差別化をさらに進める。異形断面糸など、独自糸の開発に取り組んでいる。

 CO2排出量削減のためのグリーン電力を使った生産など、環境対応も進める。素材でもサステイナブル使いを打ち出す。3月28~30日に開かれた「インターテキスタイル上海」では、リサイクルポリエステル100%を使用した独自素材ブランド「モノフレックス」を発表した。