大和紡績/2層構造糸の販売好調/機能とサステ両立で深耕

2023年04月04日 (火曜日)

 大和紡績は機能性とサステイナブルを両立させた素材開発を加速している。リサイクルポリエステルを米綿で包んだ2層構造糸「ツインレット」は、カジュアル向けを中心に「予想以上に販売量が増えている」(西山豊一商品企画部長)。天然由来の成分を使った加工や、生分解性のある素材開発に力を入れる。

 これまで綿・ポリエステルの2層構造糸を「セルピー」ブランドで販売していた。2年ほど前にサステイナビリティーや環境配慮への意識が高まりを見せる中、「原料を厳選し、紡績技術を駆使した」(西山商品企画部長)ツインレットを開発した。吸水性、速乾性、寸法安定性といった特徴とともに、上質なコットンUSA認証綿を使い取引先から「綿の風合いが良く、使いやすい」との評価を受け、カジュアルのスエットやTシャツなどでの採用が増加。糸売りにも対応し、20、23、32、42番手を展開する。

 最近では「綿の風合いを生かした商品開発をしたいとの声が増えている」としてスポーツメーカーへの販売を強化。ニット製品への採用が中心だが、寝装向けに織物用途での提案も進める。

 機能加工ではグレープフルーツの種子エキスを応用した抗菌加工「シトラスガード」、シルクのマイクロパウダーを用いて吸湿・放湿性を付与した「アミノモイスト」が、婦人向けインナーに販路が広がりつつある。

 来年の採用に向けて生分解性ポリエステル短繊維使いの紡績糸「パルテラ」や、綿と機能レーヨンの特殊紡績糸「セルハーモ」の提案も強める。いずれも20~40番手で展開する。

 パルテラは、紡績技術と組み合わせ「品位を高めた」開発によってスポーツやカジュアルのタウンウエアなどへ採用が進む。セルハーモはセルロース100%のため微生物によって分解可能で環境負荷が小さい。ハリ・コシや吸水速乾性が特徴のほか、遮熱や防虫、消臭、抗菌防臭といった機能レーヨンと組み合せた提案もできる。