「インターテキスタイル上海」/日系出展者満を持してサステと機能打ち出し/1年半ぶり開催

2023年03月29日 (水曜日)

 服地と副資材の国際展示会「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2023春」が28日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で開幕した。新型コロナウイルス禍の影響を受け、21年10月以来1年半ぶりの開催となる。日系出展者はサステイナブル素材使いと機能性を持つ生地を打ち出し、満を持して臨む。会期は30日まで。(岩下祐一)

 今回展には約3千社弱が出展し、21年春展(17カ国・地域の約3千社)からほぼ横ばいとなった。

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催する「ジャパン・パビリオン」には、初出展の3社を含む、21社が出展した。東レや帝人フロンティア、旭化成、三菱ケミカル、スタイレム瀧定大阪は、国際館などに単独でブースを構えている。

 今回展は1年半ぶりに開かれる。コロナ禍による行動規制のない展示会としては、19年春展以来だ。昨年は同展が開かれなかったことで、新規顧客の開拓が進まず、業績が伸び悩んだ生地商社もある。多くの出展者が、今回展の開催を待ち望んでいた。

 ブランドなどの来場者にとっても、今回展の開催は吉報だ。「コロナ禍後、サプライヤーからの新しい生地の提案が減った」(地場メンズブランド関係者)。そのため、今回展に期待するブランド関係者は多い。

 それを証明するように、ジャパン・パビリオンには初日午前中から多くの来場者が詰め掛けた。「例年、午前中はそれほど多くないが、今回は早くからたくさんの来場者が来ている」と、双日ファッション関係者は話した。

 ジャパン・パビリオンの出展者は今回、サステイナブル素材使いと機能性を持つ生地を打ち出している。

 サンウェルは、エコとファッションを両立した生地を前面に訴求する。目玉の一つである「SDGsシリーズ」は、リサイクルポリエステルや和紙などのサステイナブル素材を採用する。

 モリリンは「エコロジー&機能性」をテーマに、中国で開発した機能性生地や日本製の備蓄品、それらを使った製品をアピールしている。

 こうした打ち出しの背景には、地場ブランドがサステイナビリティーへの関心を高め始めたことがある。豊島は昨年、廃棄される食材を使って染色する「フードテキスタイル」の中国内販を伸ばした。

 ユニークな機能性生地を出展し、人気なのがコゼットだ。新製品の「温度反応性保温生地」は、地球上の固体の中で最も軽く、最も断熱性能が高いといわれる素材「エアロゲル」を採用。一定の温度以下に下がると、同素材を埋め込んだ2枚の生地の間に空気層ができる仕組みだ。

 中国は昨年12月、コロナ禍を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策を終了し、行動規制を解いた。これにより、各ブランドの売り上げが回復している。ただ昨年の上海の都市封鎖などの混乱で在庫を抱えるブランドが多いことから、生地発注の正常化には時間がかかるとみられる。景気低迷も懸念材料だ。

 一方、コロナ禍の後、ネット通販シフトが進んだことで、短納期・少ロットのニーズが拡大し、日系生地商社の備蓄品への引き合いが強まっている。今回展は、アフターコロナの市況を見通すための重要な機会になりそうだ。