成長のステージへ 素材メーカー系商社のいま(6)/東レインターナショナル/強み前面に成長図る

2023年03月14日 (火曜日)

 東レインターナショナルのアパレル部門は、素材メーカー系商社としての強みを武器に成長を図っていく。自社の海外拠点と東レグループなどとの連携深耕による糸・わたから生地、縫製品までの一貫生産がその強みの一つであり、自家縫製工場をベトナムに立ち上げるなど、生産体制も整えている。

 今期(2023年3月期)のアパレル部門の業績は、国内のスポーツ・アウトドア分野が全体のけん引役を務めた結果、前年度の実績と比べて10%弱の増収となる見通しだ。中でもアウトドア関連が順調に推移し、大手SPA向けについても堅調な動きを示した。

 来期以降も継続的な成長を図っていくが、ポイントとなるのが、強みの一つである糸・わたから生地、縫製までの一貫生産だ。縫製の拠点となる新工場をベトナム中部のクアンガイに立ち上げるなど、体制の構築を終えている。今後、新工場を中心にサプライチェーンの強化に取り組む。

 トーレ・インターナショナル・ベトナムクアンガイ工場は、昨年8月に立ち上がった。第1期として430~440人の人員でスタートし、スポーツ衣料を主力アイテムとする。日本向けがメインだが、今春には欧米向けの生産も開始する予定。同拠点は順調なスタートを切り、早い段階で人員を現在の2倍に増やす(第2期)計画だ。

 一貫生産による事業拡大の武器が、独自差別化素材や東レグループ環境対応素材などを使った製品の提案だ。独自差別化品では高耐久アウトドアウエア「TORAIN」(トレイン)や新感覚快適ウエア「3DeFX+」(スリーディーエフエックスプラス)を、グループの環境素材では事業ブランド「&+」(アンドプラス)を展開する。

 トレインは、疎水性防水膜を備えた高機能生地、高耐久目止めテープ、縫製技術を融合した防水透湿性を備える。高耐久性が最大のポイントであり、高耐候性能は一般的なアウトドアウエアよりも長く、10年相当の着用に耐えると言う。表地には東レのリサイクル繊維などを使用している。

 スリーディーエフエックスプラスは、東レグループのストレッチ生地と独自のストレッチ中わたを組み合わせている。かさ高性や通気性などが特徴で、中わたは再生ポリエステル比率が50%以上。トレイン、スリーディーエフエックスプラスともドイツのスポーツ用品専門展示会に出展し、好評だった。

 そのほか、来期以降は縫製人材の育成とデジタル技術で企業を変革するDXにも力を入れる。DX関連では、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入している。