成長のステージへ 素材メーカー系商社のいま(1)/帝人フロンティア/産業資材部門でBtoC拡大
2023年03月06日 (月曜日)
新型コロナウイルス禍が落ち着きを見せ、素材メーカー系商社は再び成長の時を迎えようとしている。ただ、競争も激しさを増しており、強みを前面に出すことが今後の鍵を握る。新たなステージに立つ素材メーカー系商社の施策を追った。
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帝人フロンティアは、産業資材部門でBtoCビジネスの拡大に力を入れる。高吸水・高吸湿の「ベルオアシス」を使った除湿アイテムなどがテレビ通販を中心に順調に推移しているほか、ワイピングや寝具関連の伸びにも期待する。同時にBtoBビジネスも強化し、全体で成長を図っていく。
産業資材分野を取り巻く環境は、2021年度(22年3月期)の半ばから回復基調に入り、22年度上半期までは底堅い動きを見せた。10月以降はコロナ禍による中国国内の混乱で勢いが陰ったが、同社産業資材部門の22年4~12月は前年同期の販売を上回り、年間でも前年実績をクリアできる見通しだ。
来年度以降は、22年度でできたことをさらに育成・拡大する方針で、BtoCビジネスがその一つ。今年度は、さまざまな場所で使用できる除湿アイテムがテレビ通販でヒット商品となったほか、機能性カーテンなども好評を博した。商品を充実させながら販売戦略を加速する。
BtoC強化について同部門は「コロナ禍の影響でネットを中心に通販が世界中で一気に広がった。自分たちが得意とする商材を消費者に浸透させる好機」と捉える。アイテムは除湿用品のほか、ワイピング関連や寝具関連を打ち出すが、帝人フロンティアの強みが出せる機能性の付与に重点を置いている。
テレビ通販と大手ショッピングサイト、自社電子商取引(EC)サイトの三つを販路に展開し、それぞれが伸長を見せている。将来的には越境ECも視野に入れるが、まずは国内で成長への基盤を固める。BtoCビジネスは早い段階での営業利益1億円の計上を目標としている。
BtoBビジネスでは、逆浸透(RO)膜用のポリエステル短繊維や自動車関連用途、コンクリート補強材などが主力。RO膜は世界的に需要が拡大しており、RO膜用のポリエステル短繊維の設備増強も検討する。22年1月にタイで3千㌧の能力増強を終えており、さらなる増強の決定は24年度以降の見込み。
パラ系アラミド繊維「テクノーラ」の織物を使ったコンクリート補強材の提案も強化する。そのほか、ケミカルリサイクルポリエステルをはじめとする環境対応素材も広げたいとし、ポリ乳酸を使ったルアーなどを開発した。BtoCとBtoBの全体で事業を底上げし、23年度の業績は今年度に続いて増収増益を目指す。