特集 20thジャパン・ヤーン・フェア&総合展「THE尾州」(7)/モノ作りを支える染色・関連企業・団体/岐セン/木曽川染絨/森保染色/東新セラテック/村田機械/トヨシマビジネスシステム

2023年02月10日 (金曜日)

〈好調「エコモ」メインに/岐セン〉

 岐セン(岐阜県瑞穂市)はサステイナブルな加工ブランド「エコモ」をメインに提案する。エコモはSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する染色・機能性加工の総合ブランドで、天然由来の原材料を使用した加工や環境負荷低減できる加工などで構成する。

 世界的にサステイナビリティーに対する意識が高まる中で、エコモに対する引き合いも強まっており、今上半期(2022年4~9月)の加工数量は45万㍍。通年では100万㍍を超える見通しにある。

 けん引するのはナイロン織物のコンパクト加工「バゼロ」と「バゼライト」。ナイロンやナイロンと天然繊維の複合素材を、特殊薬剤を使用せずにコンパクト加工を施す。その他、非フッ素による撥水(はっすい)加工や汚れを落としやすい加工も好調に推移している。

〈自社ブランドに織物追加/木曽川染絨〉

 木曽川染絨(岐阜県笠松町)は草木染めの生地と製品の自社ブランド「キソテキスタイル」を訴求する。これまでは丸編みのみだったが、新たに織物をラインアップに加えた。

 同ブランドは2021年9月から展開。ログウッドやクワの葉など8種類の植物から抽出した天然染料100%で染めることでサステイナビリティーを意識した。ナチュラルな色合いと経年による色の変化が楽しめるのも特徴だ。

 同社はニット専業の染工場であることから、同ブランドでも扱いは丸編みのみだった。アイテムの幅を広げるため織物の染色にも取り組み、原料も綿だけでなくリネンなどへ広げた。

 織物を加えたことで、ルームウエアなどが中心だったアパレル製品のアイテムも広がる。会場では生地を中心に製品も展示する。

〈ウール中心に機能加工も/森保染色〉

 森保染色(愛知県一宮市)はウールによる各種加工を中心に、リネン100%の中白加工(芯まで染めない)、綿のむら染め加工、さらに各種機能加工を提案する。

 同社はチーズ染色を主力とするが、各種繊維にさまざまな加工を施せるなど幅広い技術開発力に特徴がある。今回展ではウールの良さを打ち出しながら、非塩素防縮加工など同社の加工技術を訴求する。

 ウールの需要喚起の一環として取り組む国産羊毛の有効活用を目指すジャパンウールプロジェクト(JWP)協議会の取り組みも紹介する。JWPの中で同社は羊毛の洗いを担っている。

 機能加工では防蚊、防虫、抗菌、消臭、防カビ、防炎、保温などを提案。三重県の高校に協力した製品タイダイ染めの学生作品も展示する。

〈ヤーンガイド製造がルーツ/東新セラテック〉

 東新セラテック(愛知県瀬戸市)は、セラミックス製のヤーンガイド(糸道)製造をルーツに機械部品を供給する。現在では電子・医療・通信機器向けの部品を手掛けるほどに販路が拡大している。

 初出展となる今回展では、糸道の紹介とともに、企業としての認知度向上を狙う。陶器やセラミックス製各種製品の産地である瀬戸市に本拠を構え、自社での生産にこだわる。精製、加工、焼成、研磨といったそれぞれの生産工程で独自の技術を駆使。多品種で少量からの受注に対応している。

 緒方吾一取締役は「今年で設立して50年たつが、長年にわたり培った糸道の生産技術が全ての開発の根幹となる」と話す。ベアリングローラー、アイレットガイド、スネールガイドなども展示する予定だ。

〈ボルテックスなど紹介/村田機械〉

 村田機械は、エアジェット精紡機「VORTEX」(ボルテックス)やリワインド機を紹介する。リワインド機では、通常の紡績用とは異なるニーズを探る。

 圧縮空気で糸を紡ぐボルテックスは、特にサステイナビリティーの面での特徴を紹介する。一つは小ロット生産に向き、無駄のないモノ作りにつながる点。リング紡績で必要な粗紡・精紡・巻き上げを1工程でできるので、省スペースで切り替え時間も短縮でき、小ロット生産に向いている。

 ボルテックスの糸は抗ピリング性に優れ、脱落繊維も少なくなる。耐洗濯性も高くなり、最終製品を長く使えることにもつながる。糸の構造上、毛羽が少なく、製織時の糊の使用量の削減などにもつながる。機械の構造上、リング精紡機よりもエネルギー消費量を抑える。

〈CGの可能性を直に訴える/トヨシマビジネスシステム〉

 トヨシマビジネスシステム(名古屋市中区)は、コンピューターグラフィック(CG)ソフトウエア「4DboxPLANS」を軸に紹介する。CGが企画・デザイン業務に生かせる可能性を、来場者にじかに訴え掛ける。

 4DboxPLANSは、デザインに配色を加える機能や写真をマッピングする機能などを持ち、生地の再現精度に定評がある。さらに、システム開発・販売のユカアンドアルファ(東京都渋谷区)と共同出展でCGソフト「CLO Enterprise」(クロー・エンタープライズ)も披露。製品に置き換えた際の再現精度が高い。

 製品の関連データなど、情報を一元管理するソリューションシステム「imageDrawer」も紹介。これらを企業だけでなく、ファッション系教育機関への導入を強化していく考えを持つ。