特集 20thジャパン・ヤーン・フェア&総合展「THE尾州」(6)/ミマス/モリリン/ラメテックス/宮田毛織工業/ケケン
2023年02月10日 (金曜日)
〈麻100%グレー杢糸も/ミマス〉
意匠糸など特殊糸製造が主力のミマス(三重県玉城町)は、ダイワボウレーヨンの海洋生分解性レーヨン「エコロナ」とヘンプの混紡糸「e:hemp」、ヘンプとペットボトル再生繊維の混紡糸「エコグリーン」、手紬調ポリエステル紡績糸などを提案する。
「e:hemp」はエコロナ70%、ヘンプ30%混の20番手糸とエコロナ85%、ヘンプ15%の混30番手、エコグリーンは帝人フロンティアのペットボトル再生繊維「エコペット」65%、ヘンプ35%混で、糸種は20、30番手をそろえる。麻100%のグレー杢(もく)糸も打ち出す。生成りの麻100%糸(25番手)の販売が好調で、杢糸にも力を入れるもの。
同社は各種繊維を使った幅広い紡績糸を製造するが、このほど精紡機の増設を決定。約5700錘から約6千錘に増強する。
〈環境配慮型の機能素材を拡充/モリリン〉
モリリンは再生原料をもとに、それぞれに快適な機能を付与した環境配慮型の素材を拡充する。
再生PET原料の吸水速乾「クールマックス・エコメイド」と保温性の「サーモライト・エコメイド」は糸と生地で販売。129色と豊富な色数で、生産時のCO2を約8割削減できるエコ素材として認知度が高まる。
リファインバースグループ(東京都中央区)が廃棄対象の漁網を回収し、再生したナイロン繊維「リアミド」も注目度が高い。スパン糸もフィラメント糸も扱う。
消臭繊維「デオセル」もそろう。アンモニアなど四大臭気に効果を発揮。特殊な紡績技術で毛羽やむらが少ない糸に仕上がる。デオセルをもとに作った糸を「D+」(ディープラス)として披露する。
再生マイクロポリエステル使用で、綿のようにソフトな風合いの「m+」(エムプラス)もそろえる。
〈純銀ラメ導電糸300オーム/メートル/ラメテックス〉
ラメテックス(京都府木津川市)は新開発の純銀ラメ導電糸を国内初披露する。電気抵抗値は300オーム/メートル、光沢などラメの意匠性も両立させた。
純銀蒸着ポリエステルフィルム、ナイロンを芯糸と三者撚糸、小さいほど電気の通しやすさを示す電気抵抗値300オーム/メートルは、他社相当品より数段高い導電性を示す。さらに、通常のラメ糸と遜色ない光沢感も備える。「意匠性も両立した導電ラメ糸はありそうでなかった」(六角健次社長)。
繊度はレーヨン芯が約550デシテックス(価格6万円/キロ)、ポリエステル芯で約320デシテックス(8万円/キロ)の2種。シルバー、イエローゴールド、レッドゴールドの3色展開。価格がネックだが「1メートル当たり換算で3円前後。意匠性・機能性からして許容範囲では」と自信も見せる。
〈糸やサステ意識の新素材/宮田毛織工業〉
宮田毛織工業(愛知県一宮市)は糸にこだわった新素材やサステイナビリティーを意識した生地を展示する。
30単糸と20双糸を使った綿100%の交編は番手を変えることで、幾何学的な模様を表した。羽織物やアウター、パンツ向けなどに訴求する。
異形断面のナイロン、レーヨン、ナイロンとポリウレタン(PU)のFTY(フィラメントツイステッドヤーン)という3種の糸を組み合わせた生地は、光沢感や高級感を表現した。用途はチュニックやブラウス向け。
昨年導入した28ゲージ編み機を使った生地も提案する。イージーケア性を高めるため、再生ポリエステルやナイロン、PUなどを使った合繊100%に仕上げた。同社の生地で合繊100%は珍しい。アスレジャーやヨガウエア向けにPRする。
〈“応援団長”の役割果たす/ケケン〉
ウールや獣毛に関する高い知見を持つ検査機関がケケン試験認証センター(ケケン)だ。今回は「ウール本来が持っている特性や魅力を来場者に広くアピールすることで普及につなげたい」と話すなど、ウール・獣毛の“応援団長”としての役割を果たす。
ウールは温かいというイメージが浸透しているが、難燃性や染色性といった他の機能を知らない企画担当者らも多い。展示会では「最も分かりやすい」という消臭性を重点的に訴求するほか、生分解性を持つサステイナブル素材であることも説明する。
そのほか、昨年9月に開始した抗ウイルス性試験や糸むら試験も紹介する。抗ウイルス性試験は納期約3週間で対応する。糸むら試験は、1キロの間にむらがどれだけあるかを評価・分析する。