帝人フロンティア〈ベトナム〉/チャイナ+1引き寄せる/産資分野拡大もテーマ
2023年02月09日 (木曜日)
帝人フロンティアのベトナム法人、帝人フロンティア〈ベトナム〉は、主力の縫製品OEM事業で「チャイナ・プラスワンの流れを強く感じる」(別所誉功社長)として、日本本社、香港法人と連携しながらその受け皿としての体制を整え、受注拡大を狙う。産業資材の輸出入・内販の拡大も同時並行で進める。
同社の縫製品受注状況は、同国がウイズコロナ、アフターコロナ政策に転じたことも追い風に堅調な推移になっており、2023年3月期は前期比、計画比とも増収増益となる見込み。上半期は特に、香港法人を営業窓口とする欧米向けがけん引役になったが、景気減速に伴って下半期はやや勢いに陰りが見えており、「来期はしんどくなる」と予測する。
同事業の約3分の2を占める対日の今期は欧米に比べてやや元気のない推移で、新型コロナウイルス禍前にも戻っていない。ただ、同国を訪れる日本のアパレルとの商談は順調に進んでおり、来期中の新規取引スタートも幾つか決まっている。ゼロコロナ政策を進めてきた中国から、リスク分散の観点でベトナムにシフトしようとする流れを感じると言う。欧米向けの苦戦がほぼ確実視される中、この流れをどれだけ取り込めるかが来期の重点課題になる。
そのため、現在はホーチミン周辺や南部が中心の協力縫製工場の立地を、中部や北部に広げていく方針。ホーチミン周辺の人件費上昇や工場スタッフ不足が顕著なことも背景にある。一方、「コスト高への対応としては分散よりも集約化が必要」とし、重点工場でのシェア拡大も図る。
拡大分野に位置付ける産業資材の販売については、昨年4月に同分野に精通するスタッフを日本から呼び寄せて体制を整えたことも奏功して、「(成約まで)時間がかかる分野だが、着実に種はまいている」と今後の拡大に自信を示す。対象分野は自動車関連などで、商材は合成皮革が中心。