特集 オフィス&サービスウエア23春夏(6)/素材メーカー編/サステ素材でニーズを捉える/東レ/東洋紡せんい/宇仁繊維/帝人フロンティア/サンウェル

2023年01月31日 (火曜日)

 オフィス・サービスウエア市場もサステイナビリティーへの取り組みが強く求められるようになってきた。それに伴い素材調達の重要度がますます高まっている。新型コロナウイルス禍からの需要回復期の販売は、新たなニーズを捉えることができるかどうかに左右される。

〈環境配慮素材を定番に/東レ〉

 東レのオフィスユニフォーム地とサービスユニフォーム地の販売が堅調に推移している。いずれも環境配慮素材の採用が拡大しており、引き続きユニフォーム分野でのスタンダードとしてバリエーションも拡充しながら提案を拡大する。

 特にオフィス向けは環境配慮素材のニーズが高く、再生ポリエステル「&+」(アンドプラス)や部分バイオ原料ポリエステル「エコディア」の採用が拡大した。機能面ではストレッチ織・編み物「ライトフィックス」や透け防止・吸汗速乾織・編み物「スプリンジー」などもヒットしている。

 サービス向けは工業洗濯対応や衛生加工、透け防止など機能面への評価が高く、これに環境配慮型原料を組み合わせる提案が拡大した。

 同社では引き続き環境配慮素材の拡大と機能素材の提案を進める。オフィス向けでは環境配慮素材使いのバリエーションを拡大し、サービス向けでは工業洗濯対応の防汚加工生地「テクノクリーンEX」や抗ウイルス加工生地「マックスペックV」などを提案する。

〈ニット生地の好調続く/東洋紡せんい〉

 東洋紡せんいのニット生地がサービスユニフォーム用途で好調だ。特殊編み組織による高密度ニット生地「スクラムテック」がサービスユニフォームのシャツ地として注目が高い。

 スクラムテックは、高捲縮(けんしゅく)糸で構成する高密度編み地の中に一部高弾性糸を編み込むことで密度を一段と高めたもの。布帛調の生地表情とストレッチ性を両立しており、サービスユニフォームのシャツで採用が拡大した。

 環境配慮素材の拡充にも注力する。再生ポリエステル「エコールクラブ」に加えて、新たに糸・生地や縫製品の生産工程で発生する規格外品や裁断くずをプラスチック強化材原料に利用するアップサイクルシステム「アップトゥサイクル」の構築に取り組んでいく。

 サービスユニフォームでも、例えば外食企業との連携で食品衛生法に抵触しない範囲での什器(じゅうき)・備品を作ることもできる。エンドユーザーとの連携で独自の循環経済の構築を目指している。

〈国内生産でQR対応強みに/宇仁繊維〉

 宇仁繊維(大阪市中央区)のユニフォーム向けの売上高は現状、全体の2%ほどとなっている。10年前から化粧品メーカーの美容部員向け制服のブラウス地など、「ファッションと親和性が高い」分野を中心に販売。航空会社のキャビンアテンダントの制服でシャツ地の供給が決まるなど、少しずつ実績を積み重ねてきた。

 3年前からユニフォーム向けの専任も配置し、販路開拓を強化。国内生産拠点を活用し、リードタイム1~2週間で生地のQR対応ができる強みを生かす。さらに「生産背景を可視化できる」ことでトレーサビリティーの面からも訴求できる。

 今後は各種サービス、メディカル、介護、ソフトワーキング向けの中肉素材を軸に商品群を拡充。企業別注でオリジナリティーを出していく動きも強まる中、「カラーや素材、柄など多様化するニーズに対し、国内生産だからこそ応じることができる」強みも発揮し、販路拡大につなげる。

〈環境と意匠、機能を融合/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアは、環境負荷低減とファッション性(意匠性)、機能性を組み合わせた生地の提案を継続強化し、オフィス・サービスユニフォーム分野で販売拡大を図る。国内での成長に加え、海外市場の開拓も図る方針で、海外販売比率10%を当面の目標に掲げる。

 同分野は、新型コロナウイルス禍による働き方の変化などから過渡期にあると指摘される。そうした中でも同社テキスタイル第二部の2022年度の販売は、前年度を上回る水準で推移している。梳毛調ポリエステル生地の環境対応タイプなどが評価を得る。

 今後も再生ポリエステルをはじめとする環境負荷低減に貢献する素材とファッション性や機能性を持つ素材の融合によって付加価値を高めて販売拡大につなげる。これらは織物だけでなく、ニット(経、丸)でも積極投入する。海外市場開拓も動きが出始めている。

〈一般向けトレンド生地も訴求/サンウェル〉

 生地商社のサンウェル(大阪市中央区)は、一般衣料向けの合繊素材や定番のポリエステル・綿混生地を中心にサービスやオフィスへの販路を広げつつある。ユニフォームメーカーから「ファッショントレンドを取り入れたいという要望が増えている」ため、一般衣料のトレンドを交えて商談に臨むことで採用率を高めてきた。

 元々一般衣料向けに提案していたウール調の「ラナテック」、麻調の「リフラックス」というポリエステル生地の販売が堅調。いずれもペットボトルなどをアップサイクルした原料を使った素材も展開しており、環境配慮の面からも提案する。さらに制電対応の生地も豊富に取りそろえる。

 ユニフォーム向け合繊生地など約65品番を掲載した生地見本帳を作成。同社のネット通販サイト「サンウェルネット」で生地の物性も確認できる。一度採用された生地は廃番にせず、継続して供給もする。