豊島「テックリサイク」/合繊の再生素材提案/CO2排出削減へ

2023年01月25日 (水曜日)

 豊島は、合成繊維の再生素材の普及を目指すプロジェクト「TecRecyc」(テックリサイク)を立ち上げた。海外の先端的なリサイクル技術を持つ工場との連携を活用し、ポリエステル、ナイロン、アクリルの3素材のリサイクルを推進する。合繊についても、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながる素材選びを提案する。

 テックリサイクでは、使用済みペットボトルを活用したマテリアルリサイクルだけでなく、生地を化学的に分解し、再合成したケミカルリサイクルも取り扱う。

 試算では、豊島が生産するポリエステル製品を全てテックリサイクに変えた場合、東京ドーム520個分の面積の森林を作るのと同等のCO2吸収効果が得られると言う。

 商品の製造時に発生した端材や漁網をチップにし、再生した原着ナイロンも提案を強める。チップに着色を施すため、発色性に優れ、色落ちや色ブレも起こさない。染色工程での水質汚染も抑制する。

 混紡で使用されることが多いため、リサイクルが困難とされたアクリルも品ぞろえに加えた。アクリル再生の技術を持つ海外メーカーと提携し、工場で発生した端材を再利用したアクリル素材の販売を実現させた。

 テックリサイクは、森林保全団体の一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ)を通じてカーボン・オフセットに貢献する。テックリサイクのタグを下げた商品は、1点の購入につき10円が森林保全活動のために寄付される。

〈機能性中わたなど提案/東京本社で23秋冬総合展〉

 豊島は24日から、東京本社(千代田区)で23秋冬総合展示会を開催している。機能性中わたなど付加価値を高めた素材をそろえたほか、メタバースを活用したバーチャルショップの事例も紹介する。2月17日まで。

 展示会では、カポックから採取した繊維とバイオマス原料のPLAをブレンドした100%植物由来の素材「POLAK」(ポラック)の提案を開始した。ポラックは独自開発製品で、トウモロコシやサトウキビのでんぷんから作られるPLAをカポックと組み合わせた新たな環境配慮型素材として打ち出す。

 軽量、吸湿発熱、吸放湿といった機能性を生かし、中わた材として提案する。アーバンリサーチが23春夏に向けて販売するジャケットへの採用が決まっている。

 今後は土壌改良シート、手芸用の資材、寝具などにも用途を広げていく方針。