三菱ケミカルグループ/アクリル事業から撤退/23年12月末日で販売終了

2022年12月22日 (木曜日)

 三菱ケミカルグループは21日、アクリル繊維事業から撤退すると発表した。2023年にアクリル短繊維「ボンネル」とアクリルショートカットファイバー「ボンネルM.V.P」の生産を終了し、同年12月末日で販売を終える。アクリル事業は赤字が続き、世界的な需要減少などから今後も収益性の改善が困難と判断した。

 ボンネル、ボンネルM.V.Pは、発色性や保温性、軽量性などの特徴を持つ。こうした特徴を生かしてセーターや丸編み製品、肌着、靴下、エコファーをはじめとする衣料用途、毛布・カーペットといったインテリア用途、不織布などの資材用途で展開してきた。

 ただ、ポリエステルへの置き換えや中国における日本産アクリル繊維に対するアンチダンピング(AD)措置などから販売数量が減少し、アクリル事業の赤字が続いていた。汎用品の展開をやめるなど、事業再構築に取り組んできたが、世界的な需要減少や原燃料価格高騰で事業環境が悪化し、今回の撤退を決めた。

 ボンネルは広島県大竹市の広島事業所で生産し、生産能力は年間1万8千トン。23年3月末日で生産を終了する。ボンネルM.V.Pは同年8月末日で生産を終える。人員については別部署に配置転換する。広島事業所では、炭素繊維用のアクリル繊維を別ラインで製造しているが、こちらの生産は維持する。

 マイクロアクリル「ミヤビ」、芯鞘構造アクリル繊維「コアブリッド」、極細アクリル「XAI」といった差別化品を展開してきたが、これらの販売からも撤退することになる。今回の撤退に伴う業績への影響は軽微としている。