クラボウと大和紡績/「プロバン」加工を移譲/連携強化で新規開発加速
2022年11月08日 (火曜日)
クラボウはこのほど、ベルギーのソルベイ社と綿100%難燃加工「プロバン」に関するライセンス契約を結んだ。2023年4月から徳島工場(徳島県阿南市)でプロバンの加工を開始する予定。プロバンは、これまで大和紡績がライセンス契約を保有していたが、今後はクラボウが加工を担い、販売はこれまで通り両社がそれぞれ担当する。
プロバンは、綿100%後加工の難燃素材としてプロバン社(現・ソルベイ社)が開発したもので、1982年に大和紡績がライセンス契約を結び、日本での製造販売を担ってきた。綿100%による肌触りの良さと吸汗性、高い洗濯耐久性、溶融しないことによる2次やけど防止など性能面で評価が高く、クラボウも大和紡績からの調達でプロバン加工生地を販売していた。
ところが今年に入って委託加工先である大和川染工所(堺市)が廃業を決め、8月末で操業を停止した。このためユーザーへの供給維持に向けた対応を両社で協議した結果、今後はクラボウの徳島工場が加工を担うことを決めた。これに合わせてソルベイ社とのライセンス契約もクラボウが結ぶことになり、大和紡績が大和川染工所に貸与していた加工設備もクラボウの徳島工場に移譲する。
販売は引き続き両社がともに担う。大和紡績は防炎エプロンや防炎シートなど防炎保護具・工業資材向けを得意とし、クラボウは作業服向けが多いため競合が少なく、今後も住み分けが可能だと判断した。
今回の加工移譲にともない、プロバンに関する両社の連携も強化する。クラボウはプロバン加工の耐スパッタ(火の粉)性能の高さを生かし、同社の綿・モダクリル混難燃素材「ブレバノ」が不得手とした鉄工分野の作業服などへの提案を強化し、相乗効果を狙う。自家工場で加工する強みを生かし、ストレッチ生地への加工など新規開発も進める。大和紡績はクラボウの徳島工場での開発成果を生かした新規取引の開拓に取り組む。