クラボウユニフォーム素材展(1)/エコロジーとテクノロジーの融合/大阪展10月19~21日 東京展10月31日~11月2日

2022年10月07日 (金曜日)

 クラボウの繊維事業は10月19~21日に同社本社ビル(大阪市中央区)で、10月31日~11月2日には東京美術倶楽部ビル(東京都港区)で「2022 クラボウユニフォーム素材展」を開催する。東京での開催はユニフォーム素材展としては初めての試みだ。

〈ふたつの「ENERGY」〉

 今回展のテーマは「『ENERGY』(エナジー):エコロジーとテクノロジーの融合」。「テクニカルエナジー」と「ナチュラルエナジー」の二つのカテゴリーで提案を行う。

 テクニカルエナジーは、働く現場が抱えるさまざまな課題を「製品」「生地」「システム」など幅広いアイテムでサポートする。「技術」と「機能」を活用することで課題を“解決する力”を提案する。ナチュラルエナジーは、地球環境に定着した「植物が持つ力」と、「クラボウの技術」を組み合わせることで作業従事者に快適・安心な素材と環境負荷低減に向けた生産活動を提案する。

〈次世代の制電、難燃が充実〉

 テクニカルエナジーのカテゴリーで提案するのが、電気・電子技術分野の国際規格であるIEC(国際電気標準会議)規格に対応した高制電素材「エレアース」。近年、製造業で電子部品を取り扱う頻度が高まっており、電子部品を静電気放電から守ることはワークウエア素材に求められる役割だ。「エレアース」を使用したワークウエアが日本電子部品信頼性センター(RCJ)の資材登録制度認証を取得した。新たにストレッチ性を付与したタイプも用意し、快適性も高めた。

 綿・モダクリル混難燃素材「ブレバノ」シリーズは日本防炎協会が定める「衣服類」「作業服」「活動服」の防炎基準にも対応したタイプをラインアップする。

 さらに日本産業規格(JIS)の「JIS T8128溶接及び関連作業用防護服」「JIS T8129熱及び火炎に対する防護服―性能要求事項」「JIS T8130防護服―火炎に対する防護服」対応品や、米国規格「NFPA2112産業事故等における火災による短時間の熱暴露に対応した難燃防護服の規格」「NFPA70E作業現場における電気安全のための要求事項」、国際標準規格「ISO11611溶接及び関連工程で使用するための防護服」「ISO11612防護服―熱及び火炎に対する防護服―最低性能要求事項」対応品も完成した。

〈天然繊維を技術で高機能化〉

 ナチュラルエナジーのカテゴリーでは、多彩なストレッチ素材を打ち出す。通気性25立方センチ/平方センチ・s(1平方センチ当たり1分間に25立方センチの空気を通す)以上、ストレッチ性15%以上を実現したポリエステル・綿混生地「ジェットエアー」や、綿100%ハイパーストレッチ生地「バンジーコットン」、ポリエステル・綿混ハイパワーストレッチ生地「バンジーテック」などだ。

 ジェットエアーは通気性とストレッチ性をさらに高めたタイプを披露する。バンジーコットンもストレッチ性とキックバック性を一段と高めた。バンジーテックは要望の多かったエコマーク対応品も用意した。

 天然繊維の強みを生かした環境配慮素材も多彩に披露する。フッ素フリー耐久撥水(はっすい)加工「シャットレイン」は洗濯100回後も撥水性2級を実現した。また、天然由来のパーム油成分を使用した撥水加工「グリーンドッツ」も洗濯50回後の撥水性2級を確認している。

〈課題解決型のソリューション〉

 作業現場の課題解決型ソリューションとして提案するのがサポーター一体型ウエア「CBW」。作業時の肉体的負荷低減や腰痛防止を目的とした製品として2021年に販売を開始し、各地で説明会を開催するなどして、農業分野で採用されるなど評価が高まってきた。展示会では物流・製造業に最適化したタイプや白衣タイプを初披露する。

 現場作業リスク管理システム「スマートフィット」も注目。作業者一人一人の体調をリアルタイムで管理できる。今年からスマートフォンを使わずにデータの送受信ができるスマホレス型ウオッチも導入し、好評だ。スマホレスが実現したことで導入のハードルが下がった。今後は全国の代理店を通じての販売も拡大する。

〈徳島工場を支える先端技術〉

 クラボウの染色加工を担う徳島工場(徳島県阿南市)に導入されている先端技術も紹介する。加工ラインを光学センサーで常時モニタリングする色管理システム「EYE―D」だ。高度な品質管理が可能となり、再加工を減らすことで染色工程での環境負荷低減につながる。

 徳島工場はそのほかにも二酸化炭素排出量や排水量の削減、ゼロエミッションを推進しており、それらの取り組みを紹介することで「サステイナブルファクトリー」としての徳島工場を打ち出す。

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 東京展では、制電や難燃機能、アシストスーツ、ウエアラブルシステムによる社会課題解決をテーマとしたセミナーも予定する。

 ユニフォーム素材展と並行して10月12~14日には幕張メッセで開催される工具・安全服・安全用品総合展「ツールジャパン」にも出展する。こちらはCBW、エレアース、ブレバノの製品を中心に出展し、エンドユーザーとのコミュニケーションを図る。

 東西での自社展示会開催と各種展示会への出展を通じて、社会課題解決に向けたクラボウの“メッセージ”を全国に向けて発信する。