豊島/和紙糸製寝具カバー効果検証/睡眠の質向上へ期待も

2022年10月03日 (月曜日)

 豊島は、技術的支援を受けたITOI生活文化研究所(大阪府岸和田市)と共同開発した和紙糸「WAGAMI」(ワガミ)を使った「和紙糸製寝具カバー」の睡眠への効果検証を実施した。その結果、寝具カバーの素材によって睡眠の質が改善する可能性を確認した。

 豊島は2021年8月から、和紙繊維ブランドを展開するITOI生活文化研究所が特許を持つ「DIRECT和紙糸製造装置」を駆使した和紙糸素材の開発に取り組んできた。同装置は、薄い原紙を細くスリットしながらスリット糸は巻き取らずに直接撚りをかけるという糸作りを可能にした。この手法を取り入れて生み出した和紙糸を、ワガミというブランドで提案する。

 和紙糸については開発当初から、吸水速乾・保湿性・消臭性といった特徴を生かせる寝具類を用途に想定していた。実際に寝具用素材の開発にも取り組み、試作品を完成させた。

 和紙糸製寝具カバーは、ワガミが表面を覆う生地構造で設計した。眠りの深さや快適性を追求して開発したが、その効果を数値化・可視化するため、睡眠に特化したコンサルティングなどを行うブレインスリープ(東京都千代田区)に検証を依頼した。

 検証では、20~60代の男女6人を対象に、温度や湿度など同一の環境下で、和紙糸製寝具カバーと一般的な綿ポリ製寝具カバーを使用して就寝してもらい、睡眠状態を測定した。

 その結果、睡眠指標と主観評価からは、和紙糸製寝具カバーの方が、寝付きの良さが改善する傾向にあることが確認された。温湿度測定を加えた検証からも、速乾性などによって体表面の不快感が抑えられて寝苦しさが解消されることで、疲労感が軽減し目覚めの良さが向上する可能性が示唆された。

 ブレインスリープの西野精治最高研究顧問は「新素材を寝具に活用する可能性が広がったと感じた」と語る。