山陽染工/海外販路開拓に注力/地元企業と連携し

2022年08月19日 (金曜日)

 染色加工の山陽染工(広島県福山市)は、地元企業と連携しながら海外への販路開拓に力を入れる。製品事業も強化。今年入社した縫製企業出身のスタッフを中心に、新たな商品開発も進める。

 同社は2019年にイタリア・ミラノのテキスタイル展示会「ミラノ・ウニカ」(MU)に初出展して以降、海外販路の開拓を進めてきた。戸板一平取締役は「海外企業との取引が少しずつ増えるとともに、ビジネスのやり方も分かってきて自信もついてきた」と話す。

 新型コロナウイルス禍で海外渡航が滞っているが、来年のMUへは出展を計画。デニム製造の篠原テキスタイル(福山市)など「地元企業とチームを組みながら、海外向けの商売に力を入れていきたい」。

 海外向けを意識し、水や薬剤の使用を抑えるなど、環境配慮型の加工の開発を強化している。ロータリー捺染機を使ったプリントを、水をほとんど使わない“無水染色”という形で提案。特殊なインディゴ染料を使った「インディゴプリント」や、墨汁をプリントした「墨コーティング」などをそろえる。

 生地をワッシャーで加工した「原反ワッシャー」など「加工感があるものが現在人気」という。プリント加工と原反ワッシャーとの組み合わせなど、加工の幅を広げながら訴求する。また、ブルキナファソ綿使いなど、生地も含めて環境に配慮した加工を提案する。

 一方で、染料や助剤、燃料の価格が高騰している。同社は今年の冬から春にかけて値上げに踏み切ったが、「その後もコストはうなぎ登りの状況」。戸板取締役は「2回目の値上げ交渉を行っていく」と説明。「値上げを飲んでもらえないと事業が成り立っていかない」と危機感を募らせる。

 同社は、部分的に色の抜け具合を変えることで濃淡を表現する独自技術の段落ち抜染を生かした製品ブランド「バッセンワークス」を展開する。製品事業では今年、縫製企業出身の人材を採用した。これによって「製品をどういう風に作ればよいか以前よりも分かるようになった」。今後もクラウドファンディングなどに挑戦しながら商品開発を推進。戸板取締役は「卸売りにも挑戦していきたい」と話す。