東洋紡 スパンボンド事業/下半期からの反転目指す/「カテナ」で中国オペレーション

2022年08月12日 (金曜日)

 東洋紡はスパンボンド事業で、2022年度(23年3月期)下半期から自動車関連市場の回復を見込んでおり、「当社も下半期から販売量を反転させる」(西阪剛志スパンボンド事業部長)方針だ。

 21年度は業績を改善したものの、新型コロナ禍前の19年度並みの水準には戻っていない。建築向けは19年度並みに回復したとしており、自動車向けの復活を見込む22年度下半期からスパンボンド全体の販売量を19年度を超える水準に戻す。

 商品の独自性を高めるために、昨年1月から京都大学と重金属イオン吸着シート「コスモフレッシュNANO」の性能を向上させるための共同研究に取り組んでいる。多くのデータを収集・分析し今後の販促に生かす。秋田県で進められている国土交通省の土木工事案件を獲得するなど徐々に認知が広がっている。

 熱成形ができる「エストーレ」も昨年から採用され始めており、未開拓だった使い捨て容器など薄手・生活資材の用途を掘り起こす。

 スパンボンドに特殊コーティングを施し軽さ、丈夫さ、通気性を持たせた自動車用トノカバー向け「カテナ」が欧州の自動車メーカー2社に採用された。

 スポーツ用多目的車(SUV)のシェアが高い中国市場へのアプローチにも力を入れる。中国企業との連携で現地加工するオペレーションを立ち上げるため既に先方に設備を導入。技術指導をしながら早急に中国での現地加工をスタートさせる。

 自動車用吸音材向けの「サウンドブロックネオ」でスペックインを急いでおり、短繊維不織布製造の呉羽テック(滋賀県栗東市)、ユウホウ(大阪市北区)との連携を強化し吸音材ビジネスの育成・拡大に取り組む。