ベトナム/輸出伸び鈍化、半年ぶり1桁%/7月貿易、主力の「電話」減少

2022年08月04日 (木曜日)

 ベトナム統計総局(GSO)が7月29日に発表した同月の輸出額(速報値)は、前年同月比8・9%増の303億2千万ドルだった。輸出の伸び率が単月で1桁%にとどまるのは1月以来。主力の電話・電話部品は4・7%減で、世界経済の減速がベトナムの耐久消費財輸出に影を落とし始めた。7月の輸入は3・4%増の303億ドルで、2020年9月以降で最も低い伸び率にとどまった。

 前月比では輸出額は7・7%減、輸入額は6%減となった。

 輸出は上位10品目のうち、4品目が前年同月から前年割れとなった。最大の輸出品である電話・電話部品は4・7%減の45億ドルで、15・3%増だった6月から一転マイナスとなった。北部バクニン省とタイグエン省の工場で韓国のサムスン電子が量産するスマートフォンの輸出が不調だったとみられる。韓国メディアは6月、サムスンがベトナム工場で減産に踏み切ったと報じている。

 木材・木工品は13億ドルで3・5%減だった。3カ月連続の前年割れで、下げ幅を前月から2ポイント近く広げた。6月の税関総局の統計によれば、物価上昇が続く米国への木材・木工品の輸出額は25%減の7億7千万ドルに落ち込んだ。7月も対米輸出が伸び悩んだ可能性がある。

〈鉄鋼は35%減〉

 前月までプラス成長を続けていた鉄鋼は34・7%減の7億ドルに落ち込んだ。輸出量も70万トンで38・5%減少した。背景には、ゼロコロナ政策で生産活動が停滞している中国が粗鋼の減産に踏み切るなど世界的な鉄鋼需要の減退がある。世界鉄鋼協会のまとめでは、6月の世界の粗鋼生産量は前年同月比5・9%減だった。

 前年同月を上回った品目も減速感が鮮明になってきた。1~6月に4割近く伸びた水産物輸出、7月は6・3%増の9億ドルにとどまった。ベトナム水産輸出加工協会(VASEP)は、コンテナ価格や燃料代の高騰で業界の事業環境は悪化しており、輸出の伸び率は通年では10~12%に鈍化すると予測している。

〈生産財の輸入減が顕著に〉

 輸入は上位10品目のうち、生産財を中心に5品目が前年割れだった。特に輸入額が大きい機械・機械設備は9・1%減の38億ドル、電話・電話部品は8・4%減の15億5千万ドルに落ち込んだ。機械や部品の輸入減はサムスン電子など製造業の生産活動の設備投資や購買が鈍っていることを示唆しており、輸出の停滞が一定期間続く可能性もありそうだ。

 生地・織物は1・9%減の12億ドルだった。主要市場の米国では繊維・衣類の在庫水準が高止まりしており、同国からの発注の減少を指摘するベトナムの縫製企業が出始めている。繊維・衣類の材料である生地・織物の輸入の減少で、縫製産業の景気の先行きに不透明感が強まっている。

 石油・石油製品の輸入は2・1倍の8億5千万ドルに急増した。輸入量は5・8%増の70万トンにとどまっており、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた資源価格の高騰が輸入額を膨らませた。

〈貿易黒字、累計7.6億ドルに〉

 1~7月の輸出額は前年同期比16・1%増の2163億5千万ドル、輸入額は13・6%増の2155億9千万ドルで貿易収支は7億6千万ドルの黒字だった。

 6月の確定値は、輸出額が328億4千万ドル、輸入額が322億3千万ドルで6億1千万ドルの黒字だった。輸出額は前月発表された速報値から1億9700万ドル上方修正、輸入額は1億3800万ドル下方修正された。

[NNA]