「MU23秋冬」/米国や極東からの来場戻る/日本勢は手応え実感

2022年07月20日 (水曜日)

 【ミラノ=Imago Mundi代表・両角みのり】12~14日にイタリア・ミラノで開かれた国際生地見本市、「ミラノ・ウニカ(MU)23秋冬」の来場社数は4052社(イタリア2799社、外国1253社)だった(人数ではなく社数でカウント)。2021年7月展と比べると31%の増加。欧州域外では米国からの162社が目を引くが、日本51社、韓国32社と極東勢も多かった。

 日本コーナー「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」(JOB)では、初日は少しゆっくりとした客足だったが、2日目にピークを迎え、久々のフィジカル展で従来の顧客とのつながりを再確認したり、新たな出会いを得る出展者もあり、概して反応は良かったとの感想が多く聞かれた。

 宇仁繊維(大阪市中央区)は20年2月展以来の出展。薄手のポリエステル長繊維織物や2重織りのジャカードを中心に、原価や輸送費コストが高騰する中、企業努力で価格引き上げを最小限に抑えた。備蓄も充実し、短納期供給を実現させている。

 サステイナビリティーコーナーをブースの一面に設けることでバイヤーの注目を引き、そのまま他の商品ラックに移動しながら生地セレクトを行える動線を敷き、「スワッチ依頼も多数受け、発注も入った。満足している」と述べた。

 スタイレム瀧定大阪(同浪速区)は、前の週に開かれた「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ」とMU向けに作った「ZEN(レディース&メンズ)」の新作コレクションが好評だった。今回の特徴は、米国からのバイヤーが回復したことだという。「7月には既に生地のセレクトを終えているハイブランドも多く、エージェントを通して6月から商談を始めるなど、より早い対応を迫られている」と語った。9月には新たに駐在員をフィレンツェに派遣してマーケットの拡大を図る。

 15年からMUに出展し、フランスやイタリアのブランドから継続したオーダーを受けているサンウェル(大阪市中央区)も2日間で米国から10社の来場があった。「客足は予想通り好調で出展に満足している」。1㍍からの小ロット供給と季節を超える機能性素材、サステイナビリティー素材、染色しないナチュラルウールが特に好評だった。

 500品種全て備蓄するという瀧定名古屋(名古屋市中区)は、ニーズを精査した備蓄サービスと直販より安い価格で他社との差別化を図った。自社開発のオンライン販売システム「JA―FABRIC」や、AR(現実世界を仮想的に拡張する技術)を使用し3Dで商品をバーチャル化できるアプリ「swatch book」(米国IT企業とのコラボレーション)など、新型コロナウイルス禍前からデジタル化を進め、オンラインとアナログのハイブリッド戦略を確立した。洗えるウールや一見ウールに見える生地、耐久性に優れた生地などが人気を集めた。「無駄がないのが真のサステイナビリティーだ」とも語った。

 次回MUは、23年1月31日~2月2日、今回と同じローフィエラミラノで開催される。