MU内の日本コーナー/注目集めたトレンドコーナー/安全対策も万全に

2022年07月19日 (火曜日)

 【ミラノ=Imago Mundi代表・両角みのり】12~14日にイタリア・ミラノで開かれた国際生地見本市「ミラノ・ウニカ23秋冬」には、日本コーナー、「ザ・ジャパン・オブザーバトリ―」(JOB)が2月展に続いて設置された。初出展の双日ファッション(大阪市中央区)を含む8社の出展と、まだ渡航の条件が難しい企業のために作られたコーナー「JOBプラス」7社によるサンプル展示となった。

 2月展では設置されなかった日本独自のトレンドコーナーが復活し、多くの人でにぎわった。JOBを日本貿易振興機構(ジェトロ)と共に主催する日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)の川島朗統括ディレクターは、「トレンドコーナーの復活は大きい。MUの中で一番の人出が望める『イデア・ビエラ』エリアにJOBが設置されたことも大きく関係して人出は多い」と語った。

 「300人近いバイヤーに招集を掛け、既に初日からハイブランドのバイヤーが来場または来場予約している」と述べたように、初日の出足は好調だった。

 トレンドコーナーで目当ての生地をチェックしているバイヤーからうまく興味や要望を引き出し、各社の出展ブースへと誘う動線もスムーズだった。

 双日ファッションは欧州市場開拓を目的に初出展したが、既にミラノにエージェントもおり、サステイナビリティー素材や備蓄機能など、的を絞った提案でバイヤーを引きつけた。

 今回2回目となるサードパーティー(東京都渋谷区)は、各産地の小規模の作り手を中心に5社の商品を取り扱っている。デニムや帆布、ウール生地など産地や取り扱う商品も違う作り手の生地を客の要望に合わせて提案している。

 東レは、植物由来の人工皮革「ウルトラスエード」の新たな可能性を打ち出した。新たな試みとしてアーティスティックな加工やデザインを施したサンプルコーナーがバイヤーを魅了したようだ。厚さの異なる生地も18~25色の色味全てで備蓄をそろえるなど、きめ細かいサービスも充実している。一時的な取り組みではなく、「現状30%の植物由来比率を2030年までには100%へと移行させたい」考えだ。

 JOBプラスの規模は少し縮小されたが、7社それぞれが前回の2倍の約40点を展示した。前田源商店(山梨県富士吉田市)は変わらずオーガニック狙いの顧客に人気がある。メンズ向けプリント生地を強みとする北高(大阪市中央区)や毛織物をメインとする中伝毛織(愛知県一宮市)の生地も注目を集めていた。

 会場内はにぎやかで、マスクを外して解放感あふれる雰囲気もあるが、JOBでは各出展者に毎日の抗原検査とマスクの着用、体温測定などを促進するなど、安全に見本市を終えて帰国してもらいたいと万全の体制で臨んでいた。